交通事故でPTSDを発症。慰謝料を請求できる?
【質問】
7カ月前の雨の夜道の会社帰りに、スリップした自動車に正面からはねられました。
腰骨を折る大怪我で半年の車いすとリハビリののち、歩けるようになったので先月退院をしました。
現在も病院に治療とリハビリに通院していますが、それ以上にPTSDに悩まされています。
交通事故に遭ってから、悪夢に悩まされたり、寝室の窓から自動車のライトが漏れ入ってくると動悸が止まらなくなります。
また、車が横を通るのすら怖くて、ガードレールのついた歩道がかろうじて歩ける程度のため、外出も大きく制限されています。
さらに、交通事故に遭ったのが雨の夜であったため、同じような雨の日の夜に自動車のライトを見た瞬間フラッシュバックして恐慌状態になったこともあります。
入院時からPTSDの症状が出ているため、通院している病院からは精神安定剤を処方されていますが、PTSDが完治するかどうかわかりません。
一人で外出するのも不安なほど症状が出ているのですが、交通事故が原因のPTSDに対して慰謝料を請求できるのでしょうか?
【回答】
PTSDは「心的外傷後ストレス障害」で、生死をさまよったり、酷い精神的なショックから、精神不安定に陥る症状をいいます。
PTSDは、以前は「トラウマ」などと大きなくくりで表現されていましたが、阪神淡路大震災で被災者がPTSDの症状を訴えるようになったことで、少しずつ承知されていくようになりました。
交通事故によるPTSDに関しては、後遺障害9級もしくは12級・14級が認められる可能性があります。
質問者様の場合は、12級か14級が認められる可能性があると思われます。
しかし、裁判所における判例ではPTSDに対する判断が厳しくなっていることも事実です。
PTSDは心の問題であるため、個人の性格によるものが大きく影響するからだと言えます。
2人の人間が同時に同じ車にはねられる交通事故に遭っても、片方はPTSDとなっても片方はならないと言うこともあるからです。
表現の仕方が大げさかもしれませんが、「血まみれの交通事故に遭っても平気な人もいれば、人が転んで膝から血を流しているのを見ただけでも気が遠くなる人もいる」と言うのが、裁判所の見解です。
そのため、事故の程度は分かりませんが、裁判所が「PTSDを発症するほどの凄惨な交通事故ではない」と認定すれば、後遺障害認定を受けることができません。
後遺障害認定を受けられないと、後遺障害慰謝料が支払われないと言うことになります。
PTSDは、デリケートな問題であるため、弁護士に相談する際には交通事故に精通した弁護士を選ぶようにしましょう。
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交通事故の加害者に懲罰的な意味合いを込めて高額な慰謝料請求の裁判を起こしても、今までの判例に準じた判決を下されることが多い。
交通事故が原因でPTSDを発症した場合、後遺障害として認定されることもあるが、近年は厳格化しているため、事前に交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。
損害賠償金に関してはもともと非課税との考え方であるため、交通事故の逸失利益の計算には、 税金が引かれる前の額面の収入が用いられる。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
交通事故の示談を弁護士に依頼している場合には、裁判となった場合でも弁護士に任せて出廷しないことも可能である。