事故に気が付かずにひき逃げに?!刑罰はどうなりますか?
【質問】
ある日、突然警察がやってきて、ひき逃げの容疑がかかっていると言われました。
警察に事情を聴いてみると、私の自動車と並んで信号待ちをしていた自転車の運転手が、青信号で発進した私の自動車のドアミラーに接触し、バランスを崩して転倒したと言う事です。
警察が言った時間帯にその現場を通ったことは事実ですが、ひき逃げどころか接触したことすら気づいていませんでした。
ですが、転倒した運転手の他に、後続車の運転手の目撃証言があったと言う事で、私の自動車と接触したせいで転倒したのは間違いなさそうです。
一応警察が、自動車に被害者の衣服の繊維組織やDNAが付着していないか鑑識していきました。
被害者に対しては自動車保険を利用して損害補償金を支払おうとは思っていますが、ひき逃げとして前科がついてしまうのではないかと恐れています。
運転手が気が付かないような接触事故でも、ひき逃げとなって刑罰を受けてしまうのでしょうか?
【回答】
以前はひき逃げに対してはさほど重い刑罰を科せられることがありませんでした。
しかし、それを悪用して飲酒運転での交通事故であるにもかかわらず、アルコールが抜けてから出頭して飲酒運転の罪を隠す者が横行したため、ひき逃げの場合には重い刑罰を科されることになりました。
ひき逃げの刑罰は、単純なひき逃げだけで35点の減点で、最高で10年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金になります。
そこに被害者の傷害や死亡が加わると、さらに重い量刑になります。
質問者の場合、ひき逃げとなる可能性はあり得ると言えます。
しかし、事故の状況から「運転手が事故に気付かなかった可能性が大きい」となった場合には、ひき逃げは免れることがあります。
具体的には、
・自転車と接触した際に「ドン」というような衝突音を確認できなかったため、接触は軽微であるか、もしくは接触せず風圧を浴びた可能性がある点。
・後続の自動車の運転手が目撃したと言うが、角度的に前走車の左側面を直接見ることができないので、転倒したのは目撃したとしても、接触した瞬間を目撃したとは考えにくい。
・自動車の鑑識をしたが、その鑑識結果で繊維組織やDNAが検出されなかった場合、接触を客観的に証明できない。
・状況によっては自動車が自転車に当たったのではなく、自転車のほうがふらつくなどして自動車に当たった可能性がある。
などがあります。
ひき逃げの可能性がある交通事故の場合、被害者と揉めるだけでなく、警察への対応も重要となるため、早急に弁護士に相談をした方が良いでしょう。
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交通事故の同乗者であっても、危険運転致死傷幇助罪に問われると、事故の責任を負わなければいけないため、相手側から損害賠償請求を受けることがある。
保険会社自身が交通事故の解決のために弁護士に依頼するのは、交通事故の調査のほかに、契約者もしくは相手側に問題があることがある。
簡単な示談で済むだろうと思っていると、後になって交通事故の相手が嘘をついてくることは珍しくない。交通事故直後に警察へ適切な届け出をし、後で困らないように証拠を残しておくことが大事。
交通事故の相手が飲酒運転であっても、被害者に対しては通常の交通事故と同じく保険金が支払われる。
交通事故の過失割合でもめた際には、相手方の要求が不当であれば、保険会社が弁護士を雇って示談交渉を始めることもあるので、基本的には保険会社に任せればよい。