人身事故を物損事故に変更することはできますか?
【質問】
2日前に横断歩道を自転車で横断中に、左折してきた車と接触事故を起こしました。
私が道路に自転車ごと倒れる形になって、捻挫と何カ所かに擦り傷を負いました。
また、自転車は運悪く自動車の下敷きとなったため、大破してしまいました。
すぐに警察と救急車が来て、そのまま私は救急車で運ばれてしまったのですが、軽傷であったためそのまま家に帰りました。
翌日、自動車の運転手から電話がかかってきて、交通事故を人身事故ではなく物損事故にして欲しいと言われました。
自動車の運転手はタクシー運転手で、人身事故で免許停止になったら給料がなくなるだけでなく、会社にいられなくなるかもしれないと言われました。
そのため、自転車の修理代と治療費としてまとめて50万円で示談してもらえないかと言ってもきました。
すでに警察には病院で怪我の具合を報告しており、人身事故で処理を進めてもらっています。
私としては、会社も翌日には普通に出勤しており、捻挫も3日目にして痛みもほとんどありませんので、自転車の修理代も含めて50万円の示談でも良いと思っています。
人身事故扱いにした交通事故を、物損事故に変えることはできるのでしょうか?
【回答】
基本的には、人身事故から物損事故に変えることはできません。
人身事故と物損事故では、警察の書類の内容も対応も変わってくるからです。
物損事故ならば、被害は物だけになりますので、警察内で処理をして終わります。
しかし、人身事故は人を傷つけた、つまり自動車による傷害罪と言えるため、調書を作成した後は、検察庁に送られて刑事裁判か不起訴となります。
つまり、人身事故の場合には罪の重さが違うため、被害者からの取り下げ要請があってもすることができません。
ですが、タイミングによっては人身事故を取り下げて物損事故と出来る時もあります。
「事故から時間が経っておらず、人身事故用の書類を作成していなかった」
「検察庁にまだ書類送検していなかった」
「人身事故と被害者から言われたが、あまりにも軽微か怪我自体が見られなかったので、診断書をみてから書類を作るつもりだった」
というような場合には、警察署の裁量で物損事故に出来ることもあるようですが、警察署によってはいかなる場合も物損事故への切り替えが出来ないこともありますので、確実ではありません。
特に検察庁に送られた後では、物損事故に変えるのはほぼ不可能です。
質問者の場合でも変更ができるかわかりませんが、安易に物損事故に切り替えるのはお勧めいたしません。
万が一むち打ちなどの症状が出ても、人身事故として保険会社に保険金請求ができないという危険性があるからです。
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自動車同士の事故の際、片方が怪我を負い、片方が無傷の場合には、怪我を負わせた方にだけ免許に対する行政処分が下されるが、後に症状が出て物損事故から人身事故に変わる場合もあるので注意が必要です。
一旦物損事故として処理された交通事故であっても、交通事故による障害が後日発症した場合、交通事故との因果関係が立証できて、警察が認めれば人身事故として扱われる。
交通事故での治療に整体院を利用することは、今までに国の方針で禁止されたことはなく、健康保険を使って治療することも可能である。
自身が交通事故に巻き込まれた際、事故現場では何をすべきですか?
怪我の程度や物損の被害の程度にかかわらず、一番に警察に通報する義務があるので、怠らずにする必要がある。また交通事故による怪我を証明するためにも、速やかに病院の診察を受けた方が良い。
治療を続けても現状以上の回復が認められない状態をさし、交通事故で症状固定をしてしまうと治療費は支払われないが、 症状固定の状態の後遺症に対する損害賠償金が支払われることになる。