交通事故で刑事記録を入手するには?
【質問】
父親が、通勤途中に横断歩道を渡っている時に左折してきた自動車に巻き込まれ亡くなりました。
亡くなってから葬儀まであわただしく、他のことに気持ちを割く余裕がありませんでした。
しかし、初七日の時に遠縁の大伯父が来てくれたのですが、大伯父は定年までは保険会社に勤めていて、交通事故の事をいろいろ相談をしました。
その中で、「警察とかから交通事故の刑事記録をもらっておいた方がいい」とのアドバイスをもらったのですが、入手の仕方などを聞く前に他の親戚に呼ばれて聞き損ねてしまいました。
刑事記録とはどういったもので、刑事記録の入手の方法はどうしたらよいのでしょうか?
【回答】
交通事故が発生した場合には、警察が交通事故の実況見分や加害者や被害者、目撃者の証言をとりますが、そういった捜査の記録を総称して刑事記録と言います。
刑事記録はいくつかの内容に分かれており、その中でも重要なのが実況検分調書と供述調書になります。
実況検分調書は、交通事故現場の状況や交通事故当時の環境など、事故に関する状況証明をするものになります。
また、供述調書は加害者や被害者・目撃者などの供述(証言)が記載されているものです。
そのため、刑事記録を入手できれば、事故当時の状況が分かり、加害者がどういう言い分を言っているのかが分かります。
保険会社と示談交渉する際にも、過失割合などを決める切り札にもなりますので、事前に入手するのが望ましいと言えます。
しかし、刑事記録は警察に言ってすぐにもらえるものではありません。
捜査や送検などの進み具合により、もらえる内容の範囲が変わったり、刑事記録自体もらえないこともあります。
基本的に捜査中は、刑事記録をもらうことはできません。
担当警察官が口頭で答えてくれることもあるかもしれませんが、捜査内容を漏らすことは禁止されているので、期待してはいけません。
検察庁に送致され不起訴処分となった場合は、実況見分調書は開示されますが、供述調書に関してはケースバイケースとなります。
裁判中の場合は、被害者及び被害者家族は実況検分調書と供述調書の両方の開示が、基本的にはできます。
しかし、供述調書等に関しては、開示不相応との裁判所が判断すれば、開示しないもしくは一部だけ開示と言う事もあります。
裁判で刑事罰の判決が下りている場合は、すべての開示・入手をすることが可能です。
どの段階であっても検察庁から刑事記録の開示の許可が出れば、検察庁に出向いて刑事記録のコピーをもらうことができますが、実費が必要となります。
コピー枚数が多い場合には、思わぬ高額の費用になる事もありますので、十分な費用を用意していく必要があります。
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車載カメラの映像などの決定的な証拠を用意したり、4者面談を行ったり、場合によっては第三者機関による事故調査をした方が良い。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すると費用はどのくらいですか?
着手金や成功報酬などで支払われた損害賠償金の9~26%ほどが必要となるが、弁護士に示談交渉してもらった方が当初の提示金額より上がることが多く、報酬を支払っても入手できる金額が増えることとなる。
交通事故の被害者が身元不明であっても、刑事罰や行政罰は通常と変わらずされ、損害賠償請求は、被害者の身元が判明して請求されない限りは、時効により請求権が消滅する。
自転車も道交法上では車両とみなされるため、交通事故となった場合には過失割合が自動車と同じ割合で科されることがあり、注意が必要である。
交通事故の被害者、もしくはその遺族には被害者参加制度によって加害者の公判に参加する権利がある。公判では大きく4つの行動が可能で、心情を訴えたり犯罪事実について質問することもできる。