自動車と自転車の交通事故での自転車の過失割合は?
【質問】
妻が自転車でパートから帰る途中に、信号のない交差点で自動車と出会いがしら事故に遭いました。
妻は現在入院をしているのですが、加害者側の保険会社から「過失割合は6:4ですので、4割しか支払えません」と言われました。
自転車の方が自動車よりも弱い立場のはずなのに、この過失割合には納得がいきません。
こちらは自転車と言う事で保険に加入していないので、治療費やパートを休んでいることを考えると経済的に大きな痛手です。
歩行者とあまり変わらない自転車で、これだけ過失割合が科せられるのは、損害保険会社が保険金の支払いを渋ってのことだと思うのですが、弁護士を通じて抗議すれば覆るのでしょうか?
【回答】
日本の道交法では歩行者の保護を手厚くされており、通常ならば0:10で過失なしとなる事も珍しくなく、「昼間の横断歩道のない大通りで、多数の自動車が青信号で通行中にもかかわらず、泥酔状態で飛び出してきた」といった一見運転手に過失がないようなケースでも9:1と、歩行者の過失が10ということはほとんどありません。
そのためか、自転車も歩行者並みに保護されていると勘違いされている方もいますが、道交法上では自転車も自動車と同じ「車両扱い」されています。
ですので、自転車と言えども場合によっては、自動車よりも過失割合が大きくなります。
具体的には、
・道路の左側を走行していなかった
・夜間にもかかわらず無灯火であった
・一時停止の標識があったのに、一時停止しなかった
・一方通行を逆走していた
・交差点にもかかわらず、左右確認せず徐行しなかった
・自動車が走行していた道が、道幅が広い等の優先道路であった
・信号を無視して交差点内に進入した
・携帯電話で話しながら走行していた
など、町ではよく見かける自転車での行為ですが、これらは厳密に言うと道交法違反で、交通事故時には過失割合に加算されます。
もちろんお酒を飲んでの自転車の運転も、飲酒運転として処罰の対象となり、5年以下の懲役もしくは100万以下の罰金となります。
そのため、質問者のケースでも一概に損保会社が不条理な過失割合を言っているわけではなく、いままでの事例にのっとった過失割合である可能性が高いです。
とはいえ、過失割合の算出の計算は一般の方からするとなじみが薄いため、損保会社が言っている過失割合が正しいか判断しかねるかと思います。
そのような場合には、交通事故に詳しい弁護士に過失割合について相談してみると良いでしょう。
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整備不良車を運転した場合、交通事故を起こす以前の問題で、道交法違反で罰則の対象となるため、即刻整備をしたほうが良い。
自動車同士の事故で警察の調書が終わってから、過失割合の主張でお互いの言い分が食い違うことが多く、過失割合を認めさせるには、客観的な状況証拠が必要になる。
遠方地であるために交通事故の示談を弁護士に依頼することをためらっているのならば、全国対応をしている弁護士事務所や弁護士団に、一度相談した方が良い。
駐車中の追突事故であっても、駐車違反の悪質性が認められる場合には、過失割合が0ではなく、10%~の過失割合を科せられるケースもある。
駐車場内での自動車同士の事故の場合、過失割合は5:5と定めている損害保険会社が多いが、実際には状況により増減することもある。