整体院でのむち打ち治療を打ち切られてしまう理由について
交通事故でむち打ちになった場合、病院で治療するか整体院で治療するかで悩まれることが多いです。
『交通事故治療専門』と謳った整体院も散見されますが、寄せられる相談の中で「交通事故でむち打ちとなったのだが、保険会社に治療費の支払いを打ち切られた」というものがあります。
むち打ちの治療費の打ち切りは病院に通院している場合でも良くある事なのですが、整体院の方が病院よりも多くなる傾向があります。
治療費の打ち切りの原因はいくつかあるのですが、整体院ならではの理由もいくつかあるため、注意が必要です。
治療費の打ち切りの理由をいくつか挙げていきますが、1つは通院の頻度によるものです。
むち打ちの治療のために週3回通院している場合と、2週間に1回しか通院していない場合では、保険会社からすれば「2週間に1回でもいいぐらいなんだから、ほぼ完治しているんじゃないか?」と判断されてしまいます。
仕事が忙しくて通院する時間がないことが原因であっても、保険会社からはそういった要因を知るはずもありませんし、また「仕事が忙しかった」と立証することも難しいため、治療費の打ち切り対象となる事もあります。
整体院ならではの打ち切りの理由
整体院ならではの打ち切り理由の一つに、医学的な診断が行われていないケースです。
整体院の治療も自賠責保険治療の対象とされますが、そもそもの「事故によるむち打ち」の診断が医師ではなく整体師の診断であった場合、レントゲンやMRIなどの画像証拠がないと、医師の診断よりも軽くみられる可能性があります。
つまり「医師がむち打ちと言ったのならば、医療機関の証明があるから認めるが、整体師の目視や触診だけでむち打ちとは認めない」という保険会社の考えが透けて見えてきます。
これを回避するためには、初めに医師の診察を受けてむち打ち症との診断が出てから、整体院に通う必要性があります。
もう一つの理由が、治療の内容です。
病院のむち打ち治療は、湿布やブロック注射などの痛痒除去を目的としたものや、電気刺激や牽引などの患部にアプローチするものになるため、「医療行為」と認められます。
整体院でも医療行為と認められるのですが、中には医療行為とは異なるマッサージ、いわゆる医療行為外の施術といった、グレーゾーンのものも存在します。
例えば首が痛いとします。
首の痛みが交通事故によるむち打ちであれば、医療行為としてマッサージが行えますが、単なる肩こりであれば生活習慣から引き起こった物であるので、治療の対象外となり実費となります。
保険会社は治療費をいくら支払ったかのほかに、どんな治療を行ったかも把握していますので、むち打ち治療の医療行為ではなく、肩こりといったものを対象とした治療が行われていた場合、「これはむち打ち治療のためではなく、単なる肩こりなどのマッサージ目的で通院しているので、治療費を打ち切ります。」となってしまいます。
そのため、整体院にのみ通院する場合には、保険会社だけでなく整体院にも確認をした方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故でむち打ちとなった場合、その治療費を請求できる。しかし、むち打ちの治療は一般的に長くは続かず、途中で治療費を打ち切られるケースが多い。
自賠責保険の怪我の治療費などの支払い上限は120万円であるため、むち打ちの治療費などが120万円を超えると、保険会社は治療費の打ち切りを言ってくることが多い。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちの症状は不定愁訴の者が多いため、患者と医師や保険会社との間で症状の見解に差異が生じやすく、示談がうまくいかないこともあるので、弁護士に介入してもらい問題解決するとよい。
脳脊髄液減少症の新ガイドライン後は、正体不明のむち打ち症として治療や補償が受けられなかった交通事故のケースでも、補償が受けられる可能性が高まる。