むち打ちとなったら交通事故後すぐに受診をしておくべき理由
交通事故に遭って骨折や出血など目に見える怪我を負ったり、強い痛みがある場合には誰しもすぐに病院へ行くことでしょう。
しかし、特に生活に支障がなさそうな場合や、交通事故後すぐにはむち打ちを自覚できなかった場合に、忙しかったり用事があったりして「このぐらいなら時間が取れるときでいいか」と病院を後回しにすることもあるかもしれません。
しかしこれは、事故対応としてNGな行動と言えます。
交通事故後すぐ受診しない理由として、交通事故というイレギュラーの事態に驚き、精神的に動揺して自分の体の心配が後回しになってしまう状態が考えられます。
また、不測の事態で興奮状態になり、運動能力を高めたり痛覚を麻痺させるアドレナリンや、鎮痛作用があるβエンドルフィンといった物質が脳内で分泌されることで、本来あるはずの痛みが感じられにくくなっている可能性があります。
実際に、病院に到着した途端にそれまでは感じなかった痛みを認めたり、病院に着いた途端に自力で歩けなくなる、というケースもあると言います。
むち打ち症以外にも、例えば脳内出血を起こしていることに気づかずに病院を受診しなかった場合などに、出血により脳が圧迫され症状が自覚されるまでに時間がかかってしまい、後遺症が残ってしまうという可能性もあるのです。
交通事故後の受診は金銭面にも影響
このような体の安全面だけでなく、金銭面でも交通事故後すぐ受診するか否かが大きく影響してきます。
交通事故で怪我を負った場合には加害者側に損害賠償を請求することになり、さらに後遺障害が残れば後遺障害等級認定を受ける必要があります。
十分な損害賠償を請求するため、そして相応の後遺障害等級認定を受けるために必要なのが「正確な診断」、「症状と交通事故との因果関係の証明」です。
一般的な考え方として、交通事故後1週間以内に受診をしていないと、交通事故との因果関係を証明するのが難しいとされています。
損害賠償額を決める交渉が難航すると、できるだけ支払いを抑えたい保険会社は「交通事故後すぐに受診していない」という点を突くことで、交通事故との因果関係を疑ってきます。
症状が遅れて現れることが多いむち打ちは、なかでも因果関係を示すのが難しい傾向があります。
後になって後悔しないためにも、交通事故に遭ったらすぐ受診しておくことが大事なのです。
むち打ちの場合、レントゲンでの所見が認められないことも多いですが、しびれや痛みがあるときにはそのままにせず、神経学的検査なども取り入れてしっかり診断してもらうようにしてください。
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交通事故に遭った時、その日のうちに病院へ診察に行くのが望ましい。もし後日に病院へ行ってむち打ちが発覚したとしても、交通事故との因果関係が認められない可能性がある。
交通事故でむち打ちとなった場合、その治療費を請求できる。しかし、むち打ちの治療は一般的に長くは続かず、途中で治療費を打ち切られるケースが多い。
むち打ちは、自分の健康保険を使って治療することができる。特に、被害者の過失割合が大きい場合は、健康保険による治療により、受け取る保険金が増えることがある。
交通事故によるむち打ちが原因でうつ病を発症した場合、むち打ちの重症性や治療期間が重視されるため、原因であるむち打ちの医学的な根拠がなければ、うつ病の発症原因と認められる可能性は低い。
むち打ちによって発生する損害は治療費だけではないので、治療が終わったら加害者の支払いは終わりではなく、その他の損害賠償金について話し合うべきである。