軽度の交通事故によるむち打ちの治療が長引く原因について
交通事故でのむち打ちの治療期間に関して、加害者側と被害者側とで意見が対立することがよくあります。
加害者からすると、「ほんのちょっと当たったくらいなのに、2カ月もむち打ちだと言って通院していて、本当は治っているのでは?」と思いますが、被害者側からすると「交通事故でなったむち打ちが、病院に通って治療しているのにちっともよくならない。」と、相反する考えがあるため、保険会社による治療費の打ち切りで揉めるという事もよく見かけます。
むち打ちは交通事故の衝撃により首に痛みや違和感が生じる事を指すのですが、多くの場合は筋肉組織の損傷であり、筋肉組織の自己治癒により3日~1週間程度で完治もしくは回復するため、むち打ちは2週間以内で治るものがほとんどです。
そのため、医者の方でも患者がむち打ちの痛みを訴えても、「交通事故から1カ月も経っているのに、むち打ちが治らないのはおかしい」と判断することもあります。
痛みが長引く場合には、筋肉組織だけでなく神経組織の損傷や頸椎のズレが関係することがありますが、そのほかの理由からむち打ちの症状が長引くことがあります。
姿勢の悪さがむち打ちを長引かせる?
首は直径20㎝に満たないにも関わらず、成人男性だと7~8kgもある頭部を支えています。
首は頸椎の骨以外の大部分は筋肉で形成されているため、頭を支えるという機能において頸椎は大きな役割を果たしています。
近年では、パソコンやスマホの普及により、前傾姿勢を知らず知らずにとっている人が多く、本来ならば緩やかなS字を描いている頸椎が、まっすぐになっていることがあります。
これは「ストレートネック」と言われるもので、首を支える際に柔軟性が失われ、肩こりや神経痛などの原因になっています。
ストレートネックの人が交通事故で衝撃を負うと健常者よりも首に負担がかかるため、健常者ならばむち打ちにならないような事故であっても、むち打ちを負ってしまうことがあります。
また、ストレートネックの人は日常の生活習慣自体が首に負担をかける姿勢であるため、むち打ちの治療をしていても治療に時間がかかる事になります。
他には、運転時の姿勢も関係しています。
たまに体を斜めに構えて運転をしている人がいますが、頭が運転席のヘッドレストから外れているため、事故が起こった際に頭が後ろに振られるのを防止してくれるヘッドレストが役に立たず、むち打ちの大きな原因になります。
しかも姿勢がななめであるため、交通事故の衝撃が体全体に均一にかかるのではなく、偏って負荷がかかるため、一部に大きなむち打ちや筋肉痛が出ることがあります。
シートベルトをしていないというのは、論外とも言えます。
万が一の交通事故の際のことも考えて、自動車を運転する際には正しい姿勢で運転する方がいいですね。
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むち打ちの治療期間の多くは3か月以内で完治するものが多いが、むち打ちの症状によっては症状が長引くこともあるので、保険会社が治療費の打ち切りを言ってきても、医師の指示があれば治療を続けられる。
むち打ちの症状は痛みだけではなく、めまいや吐き気・頭痛など一見してむち打ちと関係のないものが、むち打ちが原因となっている事もあるので、症状が改善するまで治療を続ける方が良い。
むち打ちの症状は不定愁訴の者が多いため、患者と医師や保険会社との間で症状の見解に差異が生じやすく、示談がうまくいかないこともあるので、弁護士に介入してもらい問題解決するとよい。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
交通事故のむち打ちで、間違った情報をもとに相手や保険会社と交渉すると不利となるため、正しい情報を知っておく必要がある。