むち打ちで後遺障害認定されても逸失利益が貰えないことも?
むち打ちの場合、後遺障害が認められることが少ないため、それに付随する逸失利益が認められることが少ないです。
しかしながら、裁判によってむち打ちの後遺症が認められ、逸失利益が認められたケースもあります。
しかしながら、むち打ちの逸失利益は、脊髄損傷といった不可逆的な症状とは違い、寛解や痛みに対する慣れが出てくるため、平均余命すべてに対して認められるものではありません。
むち打ちの後遺症の場合、むち打ち単体で認められる後遺障害等級は7級・9級・12級・14級になります。
後遺障害の逸失利益の期間は7級で7~10年間、9級で5~6年間、12級で2~4年間、14級で1~2年間との判例が一般的です。
等級が上がるほど後遺症の症状が重いということなので、逸失利益を認める期間が長くなってきますが、いずれも期間限定の計算となるため、脊髄損傷などの後遺障害と比べて逸失利益自体の金額が低くなることは否めません。
また、労働能力喪失率は後遺障害等級の基準に準じたものがほとんどなので、7級で56%、9級で35%、12級で14%、14級で5%となります。
逸失利益がもらえないケースも
例えば、年収300万円の人が交通事故のむち打ちで後遺障害等級14級の認定を受けたとします。
逸失利益は年収×期間×労働能力喪失率となるため、300万円×5%×1年=15万円となることもあり得ます。
裁判所の判断によっては期間の変動を求めるものもありますが、大きく変わるものではありません。
むち打ちの後遺症に悩む患者からすると十分な金額とは言えないかもしれませんが、判例から言うとこのくらいの逸失利益となります。
しかも、後遺症が認められても逸失利益が認められないケースもあります。
逸失利益とは、「交通事故によるむち打ちの後遺症により、仕事の収入が減収した物に対する補填」ということなので、後遺症により収入が減少していないと裁判所に認められた場合には、「後遺症は認めても、逸失利益は認められない」ということが起きます。
被害者側からすると、「それならば、後遺障害認定を受ける意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、後遺障害慰謝料については逸失利益が認められるか認められないかにかかわらず受け取ることができます。
このように逸失利益が認められない場合には、慰謝料をいくらか増額して逸失利益の代わりとするという考えもありますので、弁護士に相談をして加害者側と交渉する方法も考えた方が良いでしょう。
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むち打ちで後遺障害等級が認定されるためには、医師の診断書が重要になる。弁護士に依頼すれば、書類作成や医師との相談においても対応可能である。
交通事故のむち打ちで慰謝料を増額するポイントとして、症状固定まで通院を継続すること、後遺障害等級認定の手続きは保険会社任せにしないこと、交通事故に詳しい弁護士に相談することが挙げられる。
むち打ちの後遺障害認定が非該当とされた場合には、異議申し立てをして再審査してもらうことができるが、認定されるのは非常に難しい。
むち打ちで後遺障害認定を受けられる確率は高いとは言えないが、交通事故に詳しい弁護士であれば後遺症に該当するか事前にわかるため、後遺障害認定申請をする前に相談をしておくとよい。
交通事故によるむち打ちの治療で整体院に通院していた場合、医師による診断書を発行してもらえず、後遺障害認定がされないことがあり、その状態になると弁護士が介入しても覆すことが難しくなる。