むち打ちでも休業補償の保険金は支払われますか?
交通事故のむち打ちに対する保険金の支払いで、しばしば問題となるのが休業補償になります。
休業補償とは、「交通事故で仕事を休まざるを得なくなり、それにより損なわれた収入を補償する」というものになります。
分かりやすい例を掲示すると、「交通事故で20日間入院、10日間会社を休んで通院をした合計30日で完治して、その後は会社に復帰している」という場合には、会社を休んでいたのは30日間ですので、1カ月分の給料が保険金として支払われます。
しかし、休業補償が支払われるのには、会社の証明が必要となります。
会社が30日間休んでいたと正しく証明してくれればよいのですが、「有給消化した分は入れないのかな?」「病院に行くのに早退したことがあるけど、休んではいないしな」と、間違った判断をしてしまうことがあります。
どちらも間違えやすいですが、交通事故のむち打ち治療のために有給を使っても休業補償は支払われますし、会社を全日休まず遅刻早退した場合でも、その分の給料が減額された場合には休業補償の対象となります。
主婦の場合には検証が必要
むち打ちの休業補償は、サラリーマンなどの給与所得者であれば証明がしやすいため、比較的問題が少ないのですが、自営業や専業主婦の場合、保険会社と被害者の間で意見が分かれることがあります。
自営業の場合は、むち打ちの患者が「むち打ちが痛くて、商売を休んでいた」と言っても証明が出来ない場合が多く、専業主婦においては証明する方法すらないということになりますので、基本的には病院に通院した日は休んでいたとみなすことが多いです。
ただ、これも無条件に認められるものではなく、「通院にかかった時間は1時間程度で、その他の時間は仕事をしていたんじゃないか?」「通院していても、毎日の家事は支障なくこなしているではないか?」と、しばしば争点となることもあります。
特に専業主婦の場合は、自賠責保険も休業補償を認めているにもかかわらず、保険会社がその事を故意に告げずに、休業補償を支払わないという悪質な例もあります。
専業主婦の休業補償は、自賠責保険の基準で日額5,700円となっているため、むち打ちの完治までに20日通院した場合11万4千円と、それなりの金額になることがわかると思います。
むち打ちの保険金の総額は、骨折や脊髄損傷と比べると少額となることが多く、100万円以下ということも少なくないため、弁護士に相談することをためらわれることも多いです。
しかし、自動車保険に加入していれば、自身の保険の弁護士費用特約が使えることもありますし、保険会社からの示談書の内容の精査だけを弁護士に依頼すれば、比較的安価に済ますことも出来るため、検討してみても良いかもしれません。
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交通事故でむち打ちに対して支払われる保険金のうち、損害賠償は「積極的損害」と「消極的損害」の2種類がある。
むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
むち打ちの通院であっても、生命保険の通院医療保険などは保険金の支払い対象としているものもあるので、加入している保険を確認した方が良い。
むち打ちを完治まで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。そのため、完治するまで治療を続けるか、後遺障害の認定申請を検討するべきか、医師と相談する方が良い。
交通事故でむち打ちの症状があっても、交通事故前から持病などで痛みがあった場合には素因減額をして保険金が支払われることがある。