むち打ちを負った場合、生命保険の補償は受けられる?
交通事故と言うと、「交通事故の相手(加害者)に治療費を支払ってもらう」というのが普通ですが、加害者が十分な任意保険に加入していなかったり、場合によっては自賠責保険にすら加入していないという時もあります。
その場合、むち打ちとなった被害者からすれば、「交通事故に遭ったのに、治療費すら払ってもらえない」と、交通事故のショックとともに、治療費の負担まで強いられることになります。
通常ならば、自賠責保険の方から120万円を上限として、治療費や休業補償などを受け取れますし、無保険車の場合も政府保障機関に申請すれば後払いですが治療費等を支払ってもらえます。
とはいえ、むち打ちでも治療費や休業補償を合計すると、120万円では足りない時もあり、何より自己負担するのが辛いということもあります。
歩行者などが交通事故に遭った場合に、対応している保険で真っ先に思い付くのが傷害保険だと思いますが、交通事故に備えて傷害保険に加入している人というのは割合的には少なく、相手の補償頼みという場合が多いのも否定できません。
一方で、日本人の生命保険への加入率は約80%と、他の先進国から比べても高い水準です。
近年、保険の多様化から、交通事故による怪我の入院や通院も補償するタイプが増えています。
交通事故に対応している保険は意外にある?!
「病気では3日以上入院してから通院しないと、保険金が支払われない」といったような条件がある場合もありますが、交通事故の場合には条件が比較的緩やかなものもあり、「むち打ちで通院だけをしている」といった場合でも対応している生命保険もあります。
生命保険の内容によっては、通常の病気による入院や通院よりも、交通事故による入院や通院の保険金を割り増ししているものもあるため、加入している保険の内容を確認してみた方が良いでしょう。
また、VISAやJCB、アメリカンエクスプレスといったクレッジットカードの一部には、傷害保険が付帯しているものもあり、カード会社に連絡をして手続きをすれば保険金が支払われるものもあります。
とはいえ、過失がゼロの交通事故で負ったむち打ちの治療費は、本来は加害者側が支払うものであるため、加害者に請求し続ける必要があります。
もし、加害者や加害者の保険会社が、生命保険から保険金を受け取った後で治療費を支払ったとしても、保険会社の保険金を返金する必要はありません。
あくまで、生命保険は契約者が被保険者への不測の事態に備えて保険加入しているのであって、加害者とは関係のない保険契約になるため、加害者から治療費の支払いがされている、されていないにかかわらず、保険金を受け取ることができます。
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むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
むち打ちでも相手の自賠責保険のほかに、自身の自動車保険の弁護士費用特約や人身傷害特約・生命保険や傷害保険など利用できる保険が様々にあるため、自分が加入している保険を確認するとよい。
むち打ちの通院慰謝料は医学的所見が無い場合には、裁判所基準であっても他の交通事故の受傷に比べて、低くされる傾向が強い。
交通事故でむち打ちに対して支払われる保険金のうち、損害賠償は「積極的損害」と「消極的損害」の2種類がある。
自賠責保険の傷害に対する損害賠償額の上限は120万円であるため、むち打ちの治療費等をその範囲内に収めようと、治療費の支払いの打ち切りを保険会社が言ってくることがある。