むち打ちで後遺障害認定非該当となった場合には
交通事故でむち打ちとなり医療機関で治療をしても完治しない場合、通常ですと交通事故から3~6カ月の治療後に保険会社からの治療費の打ち切りと症状固定の打診があります。
被害者からすると「まだむち打ちが完全に治っていないのに」と思うかもしれませんが、治療をしても現状よりも良くならないのであれば、後遺障害認定を受けて後遺障害に対する損害賠償金を受け取るのも一つの方法です。
しかし、そこで大きな問題となるのが、むち打ちの後遺障害認定の申請をしたのにもかかわらず、非該当となった場合です。
後遺障害認定が非該当となると言う事は、「交通事故による後遺障害はない」と言う事になりますので、後遺障害に対する損害金の支給がないと言う事になります。
一番下の後遺障害の等級の14級でも、自賠責基準の慰謝料で最高32万円の支給があります。
さらに後遺障害14級ですと労働能力喪失率が5%あるため、保険金計算の基準の年収とライプニッツ係数をかけたものが、逸失利益として保険会社から支払いされます。
仮に40歳男性で基準年収が400万円ですと、ライプニッツ係数は14.643なので、
400万×5%×14.643=292.86万円が逸失利益として支払われます。
そのため後遺障害認定が該当か非該当かで、時として数百万円の違いがあることが分かります。
後遺障害認定が非該当とされた場合には?
後遺障害認定が非該当となった場合でもあきらめる必要はなく、再度申請をし直すことができます。
正式には「異議申立」となり、非該当もしくは認定された等級が低いことに対しての異議申立書を提出することにより、再審査を受けることになります。
後遺障害認定が否認される大きな要因は、「医学的に後遺障害が認められない」、「今の状態が将来的に治癒すると考えられ、後遺症となる事が認められない」、「被害者が訴えている自覚症状に対して、客観的に証拠がない」、「交通事故との因果関係が認められない」などです。
初めに後遺障害認定の申請した書類のそのままでは、認定が覆ることはないため、新たに書類を作成する必要があります。
その中で重要なのが、「日常生活で後遺症によりどういった不便を強いられているか」という被害者の陳情と、その後遺症を裏付ける医師の所見やMRI画像などの医療的な証拠が必要になります。
しかし、統計的に見ても後遺障害認定の異議が認められるのは10%ほどであるため、いかに初めの後遺障害認定の申請が重要かが伺えます。
むち打ちの後遺障害認定の異議申し立てをする際には、交通事故に精通した弁護士に相談の上で書類の作成をした方が良いと言えます。
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交通事故によりむち打ちを負った場合、後遺障害等級表にはむち打ちという項目はないが、神経症状が残る場合には、むち打ちが後遺障害として認定される。
交通事故によるむち打ちの治療で整体院に通院していた場合、医師による診断書を発行してもらえず、後遺障害認定がされないことがあり、その状態になると弁護士が介入しても覆すことが難しくなる。
交通事故のむち打ちで後遺障害認定がされたとしても、逸失利益が全額認められるとは限らず、場合によっては逸失利益がもらえないケースもある。
むち打ちは神経症状を証明するにあたって、本人が主張する自覚症状のみで客観的な証拠に乏しいため、後遺障害を認めてもらうには、立証する証拠や通院記録を残すことが大切である。
むち打ちで後遺障害等級が認定されるためには、医師の診断書が重要になる。弁護士に依頼すれば、書類作成や医師との相談においても対応可能である。