むち打ちの治療方法は、症状によって違う
交通事故に遭って病院で治療を受ける場合、外科もしくは形成外科の医師の診察を受けます。
その際、むち打ちの診断が出された場合は、「湿布とロキソニンなどの鎮痛剤が処方されて終わり」と言うのが大半です。
むち打ちの約70%が頸部捻挫であると言われ、頸部捻挫は筋肉組織の損傷であることから、炎症や痛みを抑える湿布や痛みを軽減する鎮痛剤は有効な投薬と言えます。
投薬により治すというよりも、自然治癒をするのをサポートすると言った方が正しく、頸部捻挫の治療は「日にち薬」と言えます。
しかし、そういった投薬ではなかなかむち打ちが良くならない方も多くいます。
人によっては、交通事故から2年経っても痛みが引かないケースもあります。
こういったむち打ちは単純な筋肉の損傷だけでなく、他のことが原因であることがほとんどです。
そのような場合に、一番に考えられるのが頸椎のゆがみです。
交通事故時の衝撃により、頸椎が歪んで神経根や血管を圧迫してしまい、それにより痛みやしびれなどの症状が出ていることがあります。
頸椎を正しい位置に戻し頸椎同士の間を開ければ、神経根の圧迫はなくなり、頸椎内外の血管も本来の血流を取り戻しますので、多くの医院では治療として首の牽引が行われます。
特殊なむち打ちの治療方法
頸椎にゆがみの異常がある場合には牽引が行われますが、頸椎が骨折・変形などしていて牽引による矯正が難しい場合には、手術が行われることがあります。
手術により神経や血管を圧迫している骨を削ったり、骨折片を取り除いたりします。
この場合は、圧迫している骨を取り除くことにより、神経や血管が解放されるため、症状が劇的に回復するケースがあります。
難しい部位の手術でない場合には、1週間ほどで退院できるケースもあり、回復も手術後からゆっくりと改善することが多いため、リハビリと併せて行われることがほとんどです。
脳髄液減少症型のむち打ちの場合は上記の治療では治らないため、特殊な治療法が使われます。
くも膜が破れて脳髄液が漏れている個所が分かっている場合には、漏れている穴の部分に自分の血液を注射し、血液凝固による蓋をし、その後は点滴治療をするなどして、自力で脳髄液の増加を待つ方法です。
患者自身の血液を使うため、副作用が少ないという利点がありますが、凝固した血液は時間が経つにつれ溶けてしまうため、継続した治療が必要になります。
しかし、自然治癒によりくも膜が回復し、脳髄液の漏れがなくなることもあるため、1度の治療だけで治るというケースもあります。
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むち打ちは神経症状を証明するにあたって、本人が主張する自覚症状のみで客観的な証拠に乏しいため、後遺障害を認めてもらうには、立証する証拠や通院記録を残すことが大切である。
交通事故が原因でむち打ちになった場合には、警察に通報する・病院にすぐ行く・保険会社が提示する示談内容で示談しないことがポイントとなる。
交通事故によるむち打ちでは、後遺障害等級認定が難しい。だからこそ、弁護士に依頼して客観的に後遺症が残っていると認めてもらう方法が確実である。
むち打ちになる原因の第1位は交通事故である。交通事故の衝撃で一瞬にして頸椎、椎間板、関節包、頸部の筋肉などを損傷してしまう恐れのある重い傷害である。
むち打ちで後遺障害認定を受けるのは意外に難しく、治療期間や通院期間の他に、医師の所見が重要となるため、日ごろの医師との付き合い方が重要となる。