ひき逃げの死亡事故の場合、補償はどうなるのか?
交通事故には様々なケースがあるのですが、ひき逃げの事故もかなりあります。
歩行者の被害者が生存していて意識がある場合には、被害者から証言が得られるのですが、死亡事故の場合にはそうはいきません。
車の通行量が多かったり住宅街であったりすれば、被害者の発見も早く目撃者もいたりする可能性が高いのですが、「田舎道の川沿いの土手」などで死亡事故が起こると、被害者の発見が数時間~数日後となる痛ましい状況になる事もあります。
言い方が悪いかもしれませんが、警察も同じひき逃げでも被害者が軽い打撲程度の事故よりも、死亡事故の方が捜査に力を入れるため、死亡事故のひき逃げの検挙率は約95%に及んでいます。
高い検挙率ではありますが、逆に言えば死亡事故のひき逃げの被害者のうち20人に1人は犯人が分からず、加害者から何の補償もされないと言う事になります。
2つの補償先について:手続きの進め方
加害者が分かっていれば、自賠責保険から死亡事故で1名につき3000万円を限度額として、損害補償金を支払ってもらえます。
しかし、ひき逃げの場合は加害者が分からないため、加害者の自賠責保険に請求することができません。
そこで、代わりとなるのが「政府保証事業」です。
ひき逃げの人身事故・死亡事故の被害者の補償を政府が行っている事業で、いわゆる「公的な救済」に当たります。
補償限度額は自賠責保険と同等となるため、最高で3000万円となります。
最高で3000万円であるため、事故の状況や目撃者の証言から被害者に過失が有る場合には、減額される可能性があります。
手続きは、警察から事故証明をもらい、自賠責保険を取り扱っている損害保険会社であればどこでも申請することができます。
書類に不備や死亡事故の内容に問題がなければ、政府機関の審査を経て約4か月ほどで保証金が支払われます。
もし、被害者や被害者家族が自動車保険に加入しているのであれば、加入している自動車保険会社に申請をすれば、比較的スムーズに進みます。
また、加入していた自動車保険や損害保険によっては、ひき逃げの死亡事故に対する補償が付帯していることがあり、しかも、契約者本人でなくても契約者と同居している家族ならば対象となる事もあります。
まずは加入している保険会社に連絡をして加入している保険内容を確認し、そこから補償されるのであれば保険会社に、対象外であれば政府保証事業からの補償の手続きをすることになります。
死亡事故の被害者家族は、「もしかしたらすぐに加害者が捕まるかもしれない」と、請求をためらわれるかもしれませんが、請求権にも時効があるため、早めに申請をした方が良いと言えます。
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交通死亡事故で労災認定を受けた場合には、労災と自動車保険の両方を利用する方が、受け取れる保険金の合計額が多くなることが多い。
死亡事故で加害者に損害賠償能力がない場合、被害者遺族が十分な損害賠償金を得られないことがあるが、加害者が自動車保険に加入していたのならば、その保険会社に請求できる。
死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕された場合、最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。
介護人が死亡事故に遭うと、被介護人の処遇が問題となるが、保険会社からの介護料の補填はないので、通常の保険金で被介護人の処遇を考える必要がある。
死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕される。最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。