死亡事故の裁判で依頼する国選弁護人、私選弁護人の相違点
交通死亡事故を起こして自動車運転過失致死罪で裁判を受けることになった場合、裁判所から弁護士を国選にするのか私選にするのか、という趣旨の書類が届きます。
国選弁護人とは、国(ここでは裁判所)が、あらかじめ名簿に登録した弁護士のなかから選ぶもので、加害者・被害者に選択の自由はありません。
原則として選任後の変更はできませんが、どうしても弁護士を変えたい場合には改めて私選弁護人に依頼し直すことになります。
国選弁護人は、経済的な事情で私選弁護人を雇えない場合に資力宣告書を提出して、はじめて利用が認められるもので、弁護士費用は国が負担します。
利用できるかどうかの目安は、財産が現金と預金を合わせて50万円に満たない程度となっています。
私選弁護人とは、交通死亡事故の当事者やその家族が選び、契約する弁護士です。
弁護士を自由に選ぶことができる反面、相応の弁護士費用の負担を覚悟する必要があることを念頭におかなくてはなりません。
国選弁護人と私選弁護人の違い
国選弁護人と私選弁護人とで行使できる権限は同じであり、どちらかが不利ということはありません。
異なるのは、依頼人が弁護士を自由に選べるかどうか、そして依頼できるタイミングです。
私選弁護人は死亡事故を起こした時点から、いつでも依頼を受け活動することができますが、国選弁護人が選ばれるのは、裁判所からの起訴状が届き、「弁護人選任に関する回答書」に返信した後です。
つまり、国選弁護人と会見し刑事裁判の準備を開始するのは、公判が開かれる3週間前となります。
それまでの間、弁護士に相談することなく取り調べや送検、拘留を乗り切らねばならず、公判の準備時間はより少ないものとなります。
交通死亡事故の量刑を左右するのは、示談や賠償の有無(もしくは見込み)、遺族の被害感情、そして遺族に対しての謝罪や対応の誠実さです。
このなかで弁護士によって差が出るのが、示談交渉力、被害者遺族への対応のサポート、弁護です。
弁護活動の内容が影響して、刑罰がより重く、条件の悪い示談になってしまう可能性もあります。
加害者だけでなくその家族も含め、今後の人生を大きく左右する裁判において後悔することの無いよう、しっかり考えて決定するようにしましょう。
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死亡事故の裁判数は、インターネットによる裁判に対する知識の普及と、弁護士費用特約により、10年前の5倍近い伸びとなっている。
死亡事故の民事裁判となった場合、加害者側は損害賠償金の遅延損害金も併せて支払わなければいけなくなる。
家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。
死亡事故でも加害者が刑務所に行くとは限らない理由には、死亡事故が偶発的に起きて加害者に殺意の意思がないことが、法的に大きな理由になる。
死亡事故で逮捕されると、取り調べと送検を受けて最短で3日、最長で23日以内に不起訴か起訴かが決まる。起訴されれば裁判を経て量刑が決まる。