親戚が代わりに死亡事故の損害賠償請求はできるの?
夫が死亡事故に遭いました。
死亡事故から半年経った今も、悲しみから立ち直れず、加害者との示談交渉を始めていません。
私の様子を見かねた叔父が、私の代わりに示談交渉をすると申し出てくれました。
加害者や加害者側の保険会社とお金の話をするのは、夫の命をお金に換えるような気持ちがして嫌だったので、叔父の申し出をありがたく思っています。
しかし、死亡事故の示談交渉を親戚が代理で行うと起こる問題があります。
死亡事故の損害賠償請求をする権利を取得する順位は、まず被害者の方です。
被害者が亡くなったのに、なぜ損害賠償請求ができるのでしょう?
重大な交通事故に遭って大怪我をしたことが原因で死亡したと考えれば、その理由がわかります。
たとえ即死であっても、事故で負傷し、その結果死亡したわけですから、被害者は負傷した時点で加害者に対して損害賠償請求する権利を持ちます。
被害者が死亡すると、生前に獲得した損害賠償請求権は、亡くなった人の財産として相続の対象になります。
被害者の遺族のうち、遺産を相続できるのは法定相続人だけです。
相続する権利を持たない人が遺産の一部である損害賠償請求権を行使することはできないのです。
配偶者が亡くなられた場合、自動的に死亡した人の財産を相続することになりますが、叔父は相続人ではないため、賠償請求する権利はありません。
示談交渉ができるのは誰?
損害賠償請求権を持つのは遺族でも、示談交渉を自分ではしたくないので他人に頼みたいという場合、誰が代理人になれるかというのは重要な問題です。
なぜなら、有料で示談の代理人になれるのは弁護士だけだからです。
弁護士資格を持たない人が報酬を得るために示談交渉の代理人になることは法律で禁じられており、違反は2年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
示談交渉の代理人が無償で示談交渉をするのであれば、法律違反にはなりません。
しかし、死亡事故における損害賠償金は、数千万円、ときには億を超える額になります。
そのような大金に関わる交渉を、親戚とはいえ他人に任せることはお勧めできません。
賠償金が思っていたより少なければ、交渉にあたった親戚のせいだと恨めしく思ったり、いくら賠償金が支払われたか親戚に筒抜けになって、ウワサの的になったり、お金の無心をされる可能性もあります。
示談交渉に出席したくない場合は、弁護士と委任契約を結びましょう。
加害者が任意自動車保険に入っていれば、相手保険会社の担当者と示談交渉しなければなりません。
示談に関して百戦錬磨の保険会社社員と一般人が示談するのでは、法律上の知識があまりにも違い過ぎて、相手に言いくるめられ、安い保険金で和解する恐れがあります。
交通事故の詳しい弁護士と相談しながら示談交渉を進めてください。
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家族が死亡事故に遭った場合、警察や保険会社、あるいは葬儀社とのやりとりをしなければならない。それらの負担を抑えられるメリットがあるため、弁護士へ依頼するのもひとつの手段である。
家族が死亡事故に遭った場合の示談のタイミングは、遺産相続が始まった際に始めるか、加害者の懲罰をどのようにしたいかを遺族が考えて行うとよい。
死亡事故の賠償金を受け取る人は、亡くなった被害者から賠償請求権を相続した相続人である。死亡事故により相続が発生したら、弁護士に相談することが望ましい。
死亡事故の示談交渉を代理人に頼む場合には、弁護士を代理人として選ぶのが一番問題が起こりづらく、最適であると言える。
死亡事故の遺族が加害者の減刑嘆願をする場合、結審までに示談を終わらせている方が良いが、示談内容に不安があるのならば、弁護士に依頼して示談をすすめてもらうとよい。