死亡事故の刑事裁判における被害者遺族の権利
死亡事故のような重大な交通事故の場合、不起訴とならず刑事裁判にて刑罰が決まることがあります。
死亡事故の遺族からすれば、加害者を直接見て意見を聞ける機会ですので、裁判に参加したいと考える方もいると思います。
以前は死亡事故の被害者遺族であっても刑事裁判に参加することができず、せいぜい傍聴席に座って黙って裁判を静観するしかありませんでした。
しかし、平成20年の法改正により、刑事裁判に参加する権利を被害者や遺族に与えられました。
権利の種類にはいくつかの種類があり、すべての権利を使うことも可能ですし、逆に1つだけ行使することも可能です。
また、権利であって義務ではないため、「加害者の刑事裁判には一切かかわりあいたくない」と言う場合には、使う必要はありません。
被害者の刑事裁判に関する権利
権利の種類には、主に「弁護人選任権」「刑事記録の閲覧・謄写権」「法廷の中に入ることができる権利」「検察官に対して意見を述べる権利」「証人尋問権」「被告人質問権」「意見陳述の権利」「論告・求刑の意見を述べる権利」があります。
・弁護人選任権
被害者側も弁護士を代理人として、裁判に参加することができます。
裁判には関わりあいたいけれども、法律的な事や手続きが難しいという場合には、弁護士を選任することができます。
・刑事記録の閲覧・謄写権
警察で作成した調書を裁判前に見たり、第一回裁判後に刑事記録をコピーする権利になります。
これにより裁判前に死亡事故の詳細な内容を知ることができるので、他の権利を行使する際の重要な材料となります。
・法廷の中に入ることができる権利
従来ならば、被害者であっても傍聴席での傍聴しか許されていませんでしたが、検察側の席で参加することができます。
・検察官に対して意見を述べる権利
被告(加害者)に対する訴訟は検察官が行いますが、被害者が検察官に対して意見を述べることができます。
検察官は被害者からの意見にしたがう義務はありませんが、被害者に対して説明責任を負います。
・証人尋問権
被害者も、情状証人に対して尋問をすることができます。
情状証人と言うのは、加害者側では量刑の減刑のための証人で、加害者の家族や友人などになります。
・被告人質問権
被告人(加害者)に対して直接質問をする権利です。
死亡事故時の状況などを直接聞くことができるので、権利の中では大きな役割を果たしています。
・意見陳述の権利
被害者の意見を述べる権利になります。
被害者の心情や加害者に対する問責や糾弾を言うことができるため、被害者にとって最も重要な権利とも言えます。
・論告・求刑の意見を述べる権利
被害者も加害者の量刑について意見を述べることができます。
よくニュースで聞く「被害者が裁判で『極刑を望みます』と意見しました」と言うのは、この権利によるものです。
また、「その他の権利」といったものもあります。
これらの権利を行使するためには、検察官との打ち合わせも必要となり、法的な知識も必要となるため、弁護士と綿密な相談をした方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の加害者側に弁護士がついた場合には、被害者遺族からすると「口達者な弁護士に押し切られる」といったケースに陥りがちなので、早急に弁護士に相談をして、対応策を考えた方が良い。
死亡事故の遺族間で示談の意見が合わない場合には、早い段階で弁護士に介入してもらう方が、円滑に話し合いがすみ、加害者との示談交渉に臨める。
死亡事故の場合、警察・裁判所・保険会社が死亡事故の遺族の味方とならず、遺族が第二の被害者となるケースもあるため、早目に弁護士に相談をするとよい。
家族が死亡事故に遭った場合、遺族は刑事裁判の手続きに参加して、検察官の隣りもしくはそばに座り、証言をしたり被告人に質問することが可能である。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。