死亡事故で残された遺族は刑事裁判手続きに参加できますか?
平成20年に被害者参加制度が導入されたことにより、それまでは裁判官と検察官、被告人、弁護人によって行われていた刑事裁判に被害者が参加できるようになりました。
言い換えれば、それまでは死亡事故のような悪質な交通事故の被害者遺族であっても、加害者を罰する場である刑事裁判に参加することは不可能だったのです。
刑事裁判に参加できる犯罪と参加できる人は法律により決まっています。
・危険運転致死傷罪で故意の犯罪行為によって人を死傷させた場合
・自動車運転過失致死傷罪
・業務上過失致死傷罪
以上が、交通事故に関して被害者参加制度が適用されるケースです。
死亡事故における被害者参加制度に出廷できる人は、被害者の配偶者、祖父母・父母・子などの直系親族および法定代理人です。
裁判に参加した被害者遺族にできることは?
被害者参加制度により刑事裁判に参加した死亡事故の被害者遺族は、以下のようなことができます。
・裁判に出席して法廷の中で検察官の隣りまたはその近くに座る
・事件について、検察官に対して要望を伝えたり、検察官からの説明を受ける
・証人に対する尋問
(証人に質問できるのは、証人の証言の信用性を争う尋問内容に限られており、それ以外の質問は認められません。)
・被告人に対して犯罪事実や情状事実などについて質問する
(交通事故の加害者に対して自分の意見を直接述べ、相手の心情を知る機会を得ることができます。)
刑事裁判と聞いただけで、裁判所に足を運ぶことをためらう人も多いと思いますし、ほとんどの人にとって生まれて初めての経験となるので何をしたら良いかわからず不安になるかと思います。
裁判で何をしたら良いかについては、担当検察官が指導してくれるので、被害者遺族がゼロから自分で調べる必要はありません。
しかし、裁判をより有利に進めるには、周到な準備が求められます。
例えば、被害者にとって有利になる証言をする予定の場合、証言する事項の表現が適切かどうか、念入りにチェックするべきでしょう。
そのような時に役に立つのが、死亡事故を多く手がけている弁護士です。
証言内容を事前にチェックしてアドバイスすることはもちろん、証言のリハーサルをして刑事裁判に慣れるよう指導をしてもらうことも可能です。
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死亡事故の遺族に対する慰謝料の支払いの範囲は、支払われる親族の範囲は、両親(養父母を含む)・配偶者・子になり、金額もさほど多くない。
家族が死亡事故に遭った場合、遺族は刑事裁判の手続きに参加して、検察官の隣りもしくはそばに座り、証言をしたり被告人に質問することが可能である。
家族が死亡事故に遭った場合の示談のタイミングは、遺産相続が始まった際に始めるか、加害者の懲罰をどのようにしたいかを遺族が考えて行うとよい。
死亡事故の現地調査を遺族がする場合には早めに行った方が良いのと、用意をきっちりしてから現地調査に望んだ方がいい。
交通死亡事故の被害者遺族が民事訴訟するメリットは、損害賠償金の上昇や加害者の重罰化などがあるため、民事裁判をした方が良いこともある。