死亡事故による積極的損害と消極的損害について
交通事故の死亡事故の損害賠償について、即死の場合と、治療後に死亡が確認された場合とでは、請求できる損害賠償の項目が少し変わってきます。
その損害賠償項目の区分のひとつに、積極的損害と消極的損害があります。
積極的損害は、死亡事故の被害者や遺族が交通事故で出費した直接的な損害を指します。
消極的損害は、死亡事故の被害者が死亡事故に遭わなければ得られていた利益のことを指し、死亡事故でそれらが得られなくなった場合には、損害賠償の対象となります。
つまり死亡事故で、持っていた自動車を壊されたり、治療費を支払ったりといったような、「被害者の財産を減らされた事柄」が積極的損害となります。
一方、死亡事故に遭った事で被害者の死亡事故以降の給料が入らない、事故で積み荷が壊れたがそれを売っていれば得られたであろう利益など、「死亡事故がなかったら得られていたと仮定できる利益」が、消極的損害となります。
死亡事故の場合、受傷だけの交通事故と比べて請求できる積極的損害の項目が多いです。
ここでは、一般的な死亡事故において請求できる積極的損害と消極的損害の内訳を説明していきます。
死亡事故の積極的損害、消極的損害
・積極的損害
1.交通事故から死亡確認までの、治療費・入院費・手術費
交通事故に遭い、病院に搬送されて治療や手術を受けても、亡くなるケースがあります。
その場合の治療費等も請求対象になります。
2.入院中の入院雑費・付添看護費用
交通事故後1週間、1カ月後など、交通事故から期間が開いて亡くなるケースでは、その入院中の入院雑費が認められ、付添人が必要だと医師の指示があれば、付添人の費用が支払われます。
3.葬儀費用・墓石代
交通事故により死亡した場合には、加害者に葬儀費用・墓石代など葬儀に関する費用を請求することができます。
しかし、高額な葬儀費用が全額認められるわけではありません。
以前は葬儀の実費や、上限を超える場合には上限金額を支払っていましたが、最近では手続きを簡素化するために、保険各社によって違いますが130~170万円くらいを一括して支払う形が主流となりつつあります。
・消極的損害
1.休業補償
交通事故から亡くなるまでに期間がある場合で、サラリーマンのような有職者である場合には、休んだことによる給料の減収に対して、休業補償が支払われます。
2.逸失利益
有職者の場合、死亡以降は給料(収入)がなくなることになります。
被害者が平均余命まで生存していた場合に、得られていたであろう給料を逸失利益と言います。
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ご家族が死亡事故に遭われると、正常な判断ができなくなる可能性があります。抜けのないよう、損害賠償を全て請求するためにも、その種類についてはしっかりと把握しておく事が大切です。
死亡事故となった場合、加害者に請求する損害のうち、治療費や葬儀のために支払った費用のことを積極損害と言う。
死亡事故では、被害者が生存していないため、自身で損害賠償の請求などの対応はできない。そうなると遺族の対応が求められるため、何をしていく必要があるのか、しっかりと把握するべきである。
死亡事故で請求できるものは、逸失利益・死亡慰謝料・遺族に対する慰謝料・葬儀費が大きなものになるが、交通事故の状況によってはさらに請求できる項目が増える。
死亡事故となった場合に、今後得られるはずだった収入を請求する逸失利益は、収入全てをもらえる訳ではない。そこには控除される項目があるため、確認しておくべきである。