死亡事故での加害者が科される3つの責任
交通事故では加害者には、「3つの責任」が科されます。
3つの責任とは、
・刑事上の責任
・行政上の責任
・民事上の責任
の総称なのですがよく混同されがちで、特に「刑事上の責任」と「行政上の責任」を同一と考えていて、「死亡事故を起こして警察に拘束されたけれども、免停の通知がまだ来ない」という質問をする人もいます。
刑事・行政・民事は全て管轄が違うため、同時に処分が下りるわけではありません。
場合によっては、「死亡事故の警察の処分は1年で降りたが、被害者家族と裁判でもめていて10年も経つ。」と、大きな差があることもあります。
3つの責任とはどういったものなのか、次の項目で詳しく説明します。
3つの責任とは、どのような責任?
・刑事上の責任
死亡事故の場合は、「自動車運転過失致死傷罪」(最高懲役7年)、飲酒などであれば「危険運転致死傷罪」(最高懲役20年)に問われます。
ひき逃げなどのそのほかの罪状が複合すると、最高で30年と言う事もあります。
表現が悪いかもしれませんが、「自動車で人を死亡させた」のですから、刑事上では「犯罪」に当たるため、刑罰が与えられるのは当然と言えます。
つまり、刑事事件として検察庁が起訴して、裁判所でくだされた判決の懲役・禁固・罰金刑等を受けて全うすれば、刑事上の責任は終わりと言う事になります。
・行政上の責任
行政上との責任とは、所持している運転免許証に関するものになります。
運転免許証とは、国が「公道を走ることを許します」と言う許可証ですので、死亡事故を起こした場合には「安全に公道を走ることができない」との烙印を押されたのと同様なのです。
手続きとしては、運転免許証の点数は死亡事故では、安全運転義務違反2点+死亡事故の13点もしくは20点+ひき逃げ35点の、15点~57点の加算がされるため、死亡事故一回で免停もしくは免許取り消しとなります。
運転免許証の管轄は各都道府県の公安委員会なので、検察庁の刑事処分と混同しがちですが、まったく違うものになります。
・民事上の責任
一番複雑なのが民事上の責任になります。
死亡事故の場合、死亡した被害者や遺族に対する損害賠償の保障や、破損させてしまった自動車やガードレール・塀などの物品に対する損害補償、店舗を事故で破壊して営業できなくしてしまった場合の休業補償など、下手をすると補償しなければいけない相手が何十人にも及ぶことがあります。
そうなると訴訟に及ぶことも少なくなく、一人で十数件の訴訟を抱え、裁判で判決が下りるまで10年かかると言ったこともあり得ます。
また、補償金の支払いも一括で終わらないこともあり、数年~数十年かけて弁済しなければいけないケースもありますので、3つの責任のなかでは一番解決が難しいと言えるかもしれません。
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死亡事故で被害者家族が民事訴訟を起こす理由は、加害者の量刑に不満があったり、損害賠償の金額が低すぎることが主な原因である。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。
死亡事故でも加害者が刑務所に行くとは限らない理由には、死亡事故が偶発的に起きて加害者に殺意の意思がないことが、法的に大きな理由になる。
死亡事故で被害者家族が加害者の減刑を望む場合には、謝罪を受け入れる・示談交渉に応じる・減刑の陳情を裁判所に対して行うなどの方法がある。
死亡事故で逮捕されると、取り調べと送検を受けて最短で3日、最長で23日以内に不起訴か起訴かが決まる。起訴されれば裁判を経て量刑が決まる。