遷延性意識障害となった場合に受けられる支援について
自動車事故対策機構(NASVA)は、自動車事故の発生防止および交通事故の被害者に対する援護などを目的として活動している独立行政法人で、所管は国土交通省です。
遷延性意識障害を発症する原因の第1位は交通事故であり、ある日突然事故に遭われた被害者の家族の苦しみは察して余りあります。
自動車事故対策機構は、交通事故被害者の支援を行っており、その内容は多岐にわたっています。
交通事故の被害者とならなければその存在を意識することもあまりないので、活動内容をご存じない方も多いと思いますが、遷延性意識障害患者を看護するご家族の方は、ぜひNASVAの活動を知り、必要に応じて支援を求めてください。
交通事故被害者支援の内容
【NASVA療養センター】
遷延性意識障害患者は長期の入院を余儀なくされますが、日本は健康保険制度の関係で、3カ月以上同じ病院に入院することが困難なため、数カ月ごとに転院先を探すか、自宅療養をすることになります。
しかし、転院先を探すと言っても、そんなに簡単なことではありません。
看護体制や設備、家族が見舞いに行くためには自宅からのアクセスも重要です。
そこで、自動車事故対策機構は、おもに遷延性意識障害患者が療養する医療施設、NASVA療養センターを全国で4カ所に設立しています。
NASVA療養センターはMRIやPET,CTなどの最先端医療機器が備わっており、治療とリハビリの両面から患者を看護する体制が整っています。
むろん、すべての遷延性意識障害患者がNASVA療養センターに入院できるわけではなく、自宅で療養することになる患者さんも大勢います。
NASVAは、交通事故による重度の後遺障害者の短期入院に協力している医療機関を公開しています。
これらの協力期間に短期入院した場合、入退院時の患者移送費用、室料差額負担金、食事負担金などの自己負担金が発生しますが、自己負担金の一部助成が支援として受けられます。
【介護料の支給】
自動車事故が原因で脳を損傷して遷延性意識障害になり、介護料が支給される条件に合致すると、その月の介護に必要とした費用として、自己負担した額に応じて介護料が支給されます。
NASVAが支給する介護料の対象となる自己負担金は、ヘルパー、デイサービス、訪問入浴、訪問介護、訪問リハビリです。
紙おむつや導尿カテーテルなどの消耗品や、移動リフト、介護ベッドや特殊マットレスのレンタル料などを自己負担した場合も介護料の対象になります。
支給額は、最重度の後遺障害(特1種)の場合、68,440円~136,880円(3カ月分)で、年に4回3カ月ごとに支援されます。
ただし、交通事故の被害者がNASVA療養センターに入院している場合は支援対象となりません。
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遷延性意識障害患者が長期入院するには、医療制度から難しい面があるが、長期入院を実施している医療療養型病院もわずかながらにある。
交通事故に遭い遷延性意識障害となった場合、遷延性意識障害患者は健常者と比べて感染症に罹患する確率が高いため、自宅介護する場合には介護者が日頃から十分に観察とケアをする必要がある。
遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。
遷延性意識障害となった場合、救急搬送された病院にまずは入院することとなるが、3カ月経つと転院を余儀なくされる。
3カ月以上入院している患者に対して健康保険が病院に支払う保険点数は激減するので、遷延性意識障害の患者は、入院から2カ月以上経つと、病院側から転院を促される。