遷延性意識障害となった場合の損害賠償項目について
交通事故で遷延性意識障害となった場合の損害賠償について、どのような項目を加害者に請求できるのか、簡単に確認してみましょう。
まず、交通事故~症状固定までにかかった費用として、治療費、付添看護費、入院雑費などの項目を損害賠償請求します。
遷延性意識障害のような重い症状では、入院費用にプラスして特別室の使用料を支払うケースが多いですが、これも損害賠償請求に含められる可能性があります。
症状固定となれば後遺障害等級認定の手続きを行い、遷延性意識障害であれば1級に認定されます。
この手続き費用も損害賠償項目のひとつです。
症状固定後に関する損害賠償項目として、まずは将来の付添看護費があります。
請求する期間や介護費用は判例を基準に計算され、期間は平均余命まで、職業介護人は実費全額、もしくは1日12,000円程度、家族など近親者による介護では1日8,000円程度となっています。
職業介護人と近親者介護を組み合わせたり、看護師や家政婦をプラスする場合など、実際の請求内容は個別で具体性のあるものとなります。
細かな項目を具体的に漏れなく請求する難しさ
付添介護費と同じく平均余命が関連する遷延性意識障害の損害賠償として特徴的な項目が、逸失利益です。
そのほかの怪我とは異なり、労働能力を100%喪失する遷延性意識障害の逸失利益は、被害者の年齢が若かったり年収が高かったりした場合にかなりの高額になります。
支払いを抑えたい保険会社側からは、健康な方のように被服費や交通費がかからないのだから生活費を控除すべきという主張がなされることがあり、このような控除は認めない判例が多いものの、一方で逸失利益の35%を控除した例も存在します。
同じ遷延性意識障害患者でも、介護者が付き添っての外出が可能な方もいるため、請求内容は個別に検討されるべきものです。
そのほかの項目として、被害者本人の慰謝料とともに近親者への慰謝料を請求するケースも見られます。
将来の治療費だけでなく、導尿カテーテルの用具代や食事用のエプロンなど介護に必要な細かな雑費は、ひとつひとつは少額でも平均余命までの介護を考えれば大きな金額です。
さらに介護のための家屋や自動車の改装費用が損害として認められます。
いずれの項目を見ても、その費用の必要性や具体性、保険会社の言い分に対抗できる主張など、交通事故の損害賠償に詳しい方でないとポイントをおさえて漏れなく請求するのは難しいでしょう。
被害者側では弁護士に依頼することで、安心して示談の準備が可能になります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で遷延性意識障害となった時、症状固定後にはいくつか損害が生じる。賠償金としてしっかり請求しなければならないため、請求できる項目を把握しておくべきである。
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償額を計算するので争点になりがちである。
交通事故による遷延性意識障害の積極的損害と消極的損害のうち、積極的損害は項目が他の交通事故に比べて多岐にわたることが多いので、注意が必要である。
交通事故で遷延性意識障害を負った場合には、施設介護か自宅介護のどちらを選択するか考えるべきである。弁護士を交えて決めた方が後に後悔しない選択になる。
交通事故による遷延性意識障害の場合、保険会社に請求できるものが多いため、請求漏れがないように弁護士に依頼して示談金を計算してもらうと良い。