遷延性意識障害患者の退院時期、その後の介護について
交通事故で遷延性意識障害となって初めに処置を受ける病院は、予断を許さない症状である急性期の患者さんを扱う施設です。
そのため、遷延性意識障害という診断を受けた後も長くその施設に留まることはできません。
治癒ではなく生命維持を目的とする患者さんは、長期療養型病院の対象となります。
多くの場合、病院側の診療報酬が引き下げられる入院後3ヶ月頃の時期に、退院を促されることとなります。
それでは、と退院するために長期療養型病院を探してみると、その数は圧倒的に少ないのが現実です。
見つけて転院を打診しても、専門家の不在や、遷延性意識障害患者の世話をするほどの余裕がないといった理由で、転院を断られることが多いのです。
自宅から近い病院を見つけられず全国の病院を転々として暮らすことになったり、なかには転院を断られ続け、50か所以上の病院をあたったという体験談もあります。
退院後は自宅介護か、施設介護か
半年~1年半経過し、症状固定をして、いよいよ退院となったときに今度は「自宅介護か施設介護か」という選択に直面します。
自力での移動、摂食、意思確認が難しい遷延性意識障害患者の介護は、食事や排泄、入浴の介助、痰の吸引、床ずれの体位変換などつきっきりで行うものが多くなります。
そのため「仕事と介護は両立できない」と考え、施設での介護を希望する方は少なくないと思います。
そして再び、「利用できる施設の少なさ」を知ることとなります。
入所者数が満員という理由の他にも、やはり遷延性意識障害患者のケアの多さが負担となって、入所を断られるケースが多いのです。
「遷延性意識障害患者より、軽度の痴呆患者の受け入れの方が、同じ医療報酬で世話が少なくて済む」「医療事故が起こりやすいのでリスクを減らしたい」といった判断により入所を断られ、申込みできても数年待ちということもあります。
施設利用者側のデメリットとしても、肺炎などの感染症リスクが高まること、損害賠償の基準額が自宅介護の場合のおよそ1/2程度まで減額されること、症状回復を促す親族からの声かけの機会が減ってしまうことなどが挙げられます。
これらの事情から、退院後は在宅介護を選ぶケースが多くなっています。
家族だけで介護を頑張ろうとするのではなく、介護しやすい環境を作り、職業介護人を上手に利用することで、家族全員の生活を整えられる可能性があります。
自宅のリフォーム代や職業介護人の派遣代は、損害賠償請求に含めることが可能です。
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遷延性意識障害患者が長期入院するには、医療制度から難しい面があるが、長期入院を実施している医療療養型病院もわずかながらにある。
遷延性意識障害であっても、医学的にリハビリは有効と考えられており、音楽療法やアロマ療法など様々な種類がある。
3カ月以上入院している患者に対して健康保険が病院に支払う保険点数は激減するので、遷延性意識障害の患者は、入院から2カ月以上経つと、病院側から転院を促される。
遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。
交通事故で遷延性意識障害となった場合、加害者に対して職業介護人の雇用費用を請求できることもあるので、弁護士に相談をした方が良い。