フリーターが遷延性意識障害になった場合の補償は?
交通事故に遭い会社を休んだり、交通事故の後遺症により仕事が出来なくなった場合などは、休業補償や収入の逸失利益として加害者に請求をすることができます。
そのため、若年で遷延性意識障害となった場合には、将来稼げたであろう収入の逸失利益だけで、1億円以上の金額となるケースもあります。
保険会社が保険金の算出に使う年収は、被害者が実際に得ていた年収を参考とするため、パートやフリーターなどで収入が少ない場合には、驚くほど低額であることがあります。
また、無職の場合などは収入の逸失利益が認められず、家賃収入で生計を立てているような場合も無職と扱われるため、逸失利益はありません。
仮に30歳の男性が交通事故で遷延性意識障害となった場合の逸失利益を計算すると、ライプニッツ係数は16.711ですので、サラリーマンで年収が500万円ならば8355.5万円、フリーターで年収が100万円ならば1671.1万円と、6000万円以上の違いが出ます。
裁判では賃金センサスを基準に
弁護士に寄せられる交通事故に関する相談の中に、「フリーターの息子が交通事故で遷延性意識障害となったが、フリーターと言う事で保険会社からの保険金の額があまりにも低すぎて困っている」と言うものがあります。
もともと、保険会社が提示する保険金額は、自賠責保険の金額に少し上乗せした金額である上に、フリーターと言う事で遷延性意識障害になったことの休業補償や逸失利益が考慮されていないからです。
そのため、裁判で逸失利益を計算する際には賃金センサスが使われます。
賃金センサスとは、国が行っている国民全体の労働者の賃金の統計を差します。
その中には性別・年齢・最終学歴別に平均収入が示されており、30歳男性で高卒ならば410万円、大卒で526万円になります。
先程の例ですと、裁判所基準で計算をし直すと、高卒で6684.4万円、大卒で8789.9万円になります。
この賃金センサスが使われるのはフリーターだけでなく、労働対価が金額で推し量りにくい専業主婦や、収入や就労期間が不安定な派遣社員などでも使われることがあります。
ですが、この賃金センサスを保険会社が認めるのは、裁判や弁護士が介入した交渉に限定されることが多く、ほとんどの場合は0円や交通事故時の収入に照らし合わせたものです。
被害者家族からの抗議があっても、自賠責基準の日額5700円の休業補償を上限として、5700円×365日=208万とする保険会社もあります。
このことからも、交通事故で十分な補償を受けるためには、弁護士による交渉が必要だと言う事が分かります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で遷延性意識障害となった場合、証言が出来ないため相手方に有利な証言で事故の処理をされてしまうので、早い段階で弁護士に依頼をして証拠固めをした方が良い。
遷延性意識障害となった交通事故の加害者に裁判を起こす利点は、損害賠償金などの増額があるが、欠点もあるため弁護士の相談の上裁判をするか決めた方が良い。
遷延性意識障害となった被害者は意識不明のため主張ができず、加害者の言い分に沿った過失割合での示談成立になりがちなため、弁護士と相談してきっちり反論する必要がある。
交通事故の被害者が遷延性意識障害の場合、将来の治療費が莫大である事と、加害者側の一方的な主張が通り、被害者側が不利になる事が多いので、弁護士への相談は必須ともいえる。
交通事故で遷延性意識障害となった場合でも、交通事故当時の職業によっては逸失利益が認められないか、もしくは減額をされることがある。