被害者請求で脊髄損傷の後遺障害の認定を受けた方がいい理由
交通事故における後遺障害の等級の認定は、保険会社各々が行っているわけではありません。
自動車保険は、自賠責保険と任意の保険会社の自動車保険の二階建てとなっており、自賠責保険の基準がベースとなっていることが多々あります。
後遺障害等級の認定もその一つで、損害保険料率算出機構によって後遺障害等級が認定されます。
損害保険料率算出機構は、自賠責保険や地震保険などの基準利率や、自動車保険や火災保険などの参考純率などを、統計や科学的に算出する団体になります。
そのため、保険会社が脊髄損傷などの後遺障害はないと主張したとしても、損害保険料率算出機構により後遺障害が認定された場合には、自賠責保険は後遺障害等級に応じた保険金を支払い、保険会社もそれに準ずることになります。
交通事故の被害者が自賠責保険に請求する方法は、事前認定と被害者請求の2種類があります。
事前認定は加害者側の保険会社が、被害者請求は文字通り交通事故の被害者自身が、自賠責保険に請求する方法になります。
被害者請求をした方がよい理由
請求方法を件数から見ると、保険会社が代わりにしてくれる事前認定の方が多いのですが、被害者からの観点からすると、被害者請求の方が利点が大きいです。
例えば、脊髄損傷の後遺症が8級か10級か微妙なラインだったとします。
被害者側からすれば脊椎損傷の後遺症が8級で認められる方が、後遺障害慰謝料が多くもらえることになります。
しかし、保険会社側からすれば反対に10級で認められた方が、後遺障害慰謝料の支払いが少なく済みます。
つまり、事前認定は利益が相反する相手である保険会社が手続きをするため、被害者に不利な認定になるように手続きがされることが往々にしてあるのです。
脊髄損傷の被害者の中には後遺障害認定の知識がないため、「保険会社が代わりにしてくれてありがたい」と、保険会社の思惑に気が付かない方も多くいます。
一方被害者請求では、脊髄損傷患者自身が後遺障害認定の申請書類を作成するため、被害者の目線に立った申請書が作成でき、被害者が納得できる後遺障害認定が受けられる可能性が高まります。
ですが、問題がないわけでもないです。
後遺障害認定は、医師の診断書と申請書に書かれた内容によって認定されるため、申請の書き方によっては、事前認定よりも低い等級に認定される可能性もあるのです。
とはいえ、後遺障害認定の申請書の書き方に精通している交通事故の被害者というのは非常に少数派で、申請書の書き方が分からず壁にぶつかる方も多くいます。
そのため、書類の作成だけを引き受けている司法書士や、交通事故をトータル的にサポートしてくれる弁護士に相談するのは、被害者請求をする上で大きな利点となります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故による脊髄損傷の後遺障害認定を受ける際に、日常生活状況報告書の内容が重要となるので、交通事故に詳しい弁護士のアドバイスを受けて作成をした方が良い。
脊髄損傷は損傷の程度により、足先の痺れや、下半身麻痺であったりと症状にばらつきがある。交通事故による怪我が原因で生活が困難になった場合、リフォーム費用を加害者側に請求できる可能性がある。
交通事故に遭い脊髄損傷を負って後遺障害が残った場合には、逸失利益が発生するが、被害者の職種などによっては、実情の損害とそぐわない逸失利益の額となることがある。
交通事故で下半身麻痺の脊髄損傷を負った場合、車いすの購入費用を加害者側に請求できるが、購入前にいろいろと試してから購入した方が良い。
脊髄損傷の損害賠償請求の示談は交通事故から3年が時効とされているが、後遺症がある場合には、症状固定日から3年が時効となる。