脊髄損傷で引き起こる顔面神経麻痺や頭痛について
脊髄損傷の場合、足や腕の麻痺の障害が真っ先に思い浮かぶでしょうが、頭部や顔面に障害が現れることもあります。
脊髄損傷の一つの目安に、「脊髄損傷をした箇所より下の部位に障害が出る」というものがあります。
胸椎の脊椎損傷の場合は胸から下、腰椎の脊髄損傷ならば腰より下の下半身に症状が出ることが通常です。
肩より上の頸椎で脊髄損傷が起こった場合には、障害の症状が重くなる傾向があります。
脊髄損傷でも重篤な症状だと呼吸器不全が起こり、それが死因となることもあります。
頸椎の脊椎損傷の場合、首から下に障害が出るのはもちろんのこと、首から上の神経も関係しているため、頭部や顔面に障害が出ることがあります。
一番よくみられるのは、顔面神経麻痺です。
顔の筋肉がうまく動かせなくなり、「発音がうまくできない」「口が開きづらいので、食事がしづらい」「水がうまく口に含めずに、こぼしてしまう」といった神経麻痺による障害が起こります。
軽微な顔面神経麻痺の場合でも、「ほっぺたがひきつる」「まぶたがピクピクと痙攣する」と、痛みは少ないものの不快な症状に悩まされることもあります。
中には「まぶたが閉じられない」という障害が出る場合もあり、ドライアイの危険性だけでなく、睡眠にも影響が起こることもあります。
また、顔の筋肉がこわばることにより、表情がきわめて乏しくなったり、自分が笑顔になりたくても無表情しかできなかったりと、対人関係に問題が出るケースもあります。
頭痛も脊髄損傷が原因
脊髄損傷が原因で頭痛が起こることがあるのですが、一見同じように見える頭痛でも大きく分けて2つの原因に分かれます。
1つは、先程も述べた神経麻痺が原因です。
実は、頭は薄い筋肉でおおわれているのですが、その筋肉が神経麻痺で硬直が起きた場合頭痛が起こります。
痛みが起きている場所が頭であるため「頭痛」と言っていますが、頭の筋肉の筋肉痛が原因になります。
身近な所では、肩こりで「デスクワークで肩が凝って痛い」と言われますが、原理的には同じということになります。
もう1つが、自律神経の乱れによる血管の拡張により、片頭痛が起こるパターンです。
自律神経が乱れると、血圧の上昇・下降が起こります。
血圧が高くなると血管を過度に膨張させるのですが、脳内では血管の膨張により、三叉神経が圧迫されてしまいます。
三叉神経は圧迫されると、神経ペプチドと言われる痛み物質が分泌されるため頭痛になるのです。
さらに神経ペプチドは炎症を引き起こし、ますます血管を膨張させる悪循環となってしまいます。
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脊髄損傷であっても麻痺などの症状がない場合には、後遺障害認定を受けることは困難である。
レントゲンやMRIなどの画像所見がない場合、医師が脊髄損傷と診断していても裁判所が認めない場合もあるため、裁判をする場合には事前に弁護士に相談をした方が良い。
脊髄損傷の診断は麻痺、しびれの確認、MRI等の画像診断で特定し、損傷箇所は、C・T・L・Sで部分を、番号で骨の場所を表す。ダメージの度合いは完全損傷と不完全損傷に分かれる。
脊髄損傷では麻痺がある部分に痛みやかゆみなどを感じる幻肢痛という症状が出ることが多くあるため、幻肢痛で日常生活に支障が出る場合にはその分を含めた損害賠償請求をした方が良い。
脊髄損傷でまれに上半身麻痺が起こることがある。珍しい症例のために脊髄損傷との因果関係に気付かない医師もおり、示談が不利になるケースもあるため、交通事故に詳しい弁護士に相談をするとよい。