交通事故でひき逃げされた場合の慰謝料は増額できるの?
【質問】
渋滞のためにバイクで停まっていたらいきなり自動車に追突され、気がついたら体が投げ出されていました。
驚いたものの立ち上がることができたので、運転手と話そうと歩いていくと、相手の車がそのまま逃げてしまったのです。
慌ててナンバーを覚え、警察を呼んで交通事故の詳細を伝えてから、自分は病院に行きました。
ナンバーからすぐに相手の運転手が捕まり、警察を通じて面会しています。
逃げたことに対しては「歩けていたので問題ないと思って帰宅してしまった」という言い訳をしていました。
一応謝罪の言葉を受け、保険会社と話してくださいと言われました。
怪我は幸いなことにひどくはないものの、3ヶ月で15日間通院しています。
ほとんど痛みは取れたので治療を終わりにし、保険会社に賠償金の見積もりを出してもらうように伝えたところです。
治療費や交通費、修理代などの実費はいいのですが、気になるのは慰謝料です。
おそらく自賠責基準の1日4,200円で計算して126,000円で提示されると思います。
しかし、加害者は交通事故で怪我をさせておいて黙ってひき逃げしたうえ、卑怯な言い訳をしていることが腹立たしく、納得がいきません。
ひき逃げした場合、慰謝料をさらに上乗せできるでしょうか。
少額なので弁護士に頼むと足が出そうで、困っています。
【回答】
交通事故の慰謝料を検討する上で、ひき逃げは悪質な事由に当たり、これが認められれば慰謝料を増額できる可能性があります。
裁判では、慰謝料を基準額の1.3倍とした事例があります。
その場合に必要なのが、ひき逃げを証明する資料です。
交通事故後の警察の聴取でこの点をきっちり話していて証明資料を準備できれば、保険会社に交渉が可能でしょう。
自賠責基準は最低限の補償金額なので、納得出来ない場合には弁護士基準をもとに交渉することになります。
この場合、27万円程が慰謝料の参考額です。
しかし、保険会社を相手に個人が弁護士基準で交渉することは難しく、弁護士に依頼するとしてもやはり依頼費用がネックになります。
もしも保険に加入していて弁護士費用特約がついていれば、費用の心配なく依頼をすることができます。
弁護士費用特約がないときには、弁護士事務所への依頼よりも手間はかかりますが、紛争処理センターや交通事故相談センターの無料相談を検討してください。
しかし、保険会社が簡単に交渉に応じてくれる可能性は少なく、納得できる慰謝料まで示談で増額するのは難しいかもしれません。
その場合には訴訟となり、140万円までの請求なので簡易裁判所への提訴になります。
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交通事故に遭った時、弁護士に頼む人は多く、賠償金の増額も見込める上、加害者とのやりとりも楽になる。しかし、全ての状況において弁護士に頼むのがベストかと言えば、そうではない。
交通事故における損害賠償の請求には時効が存在し、規定の期間を経過してしまうと被害者の請求権が失われる。しかし、ひき逃げなどの特殊なケースにおいては、通常の時効とは期間が異なる。
交通事故に遭われた被害者が受け取れる賠償金を増やすためには、自身で事故後の処理を進めるのではなく、弁護士に依頼し、弁護士基準で慰謝料を請求するのが望ましい。
交通事故のトラブルにおいて弁護士を雇う事には様々なメリットがある。しかし、必ずしも支払われる賠償金の金額が増えるとは限らないため、弁護士費用特約の利用も視野に入れるべきである。
たとえ車自体が接触していないとしても、接触しかけたことにより起こった別の交通事故に対しては過失責任が発生することがある。