交通事故による後遺障害等級が非該当とされてしまったら?
【質問】
車の運転中に赤信号で止まっていたところを後ろから追突される交通事故に遭い、頚椎と腰椎の捻挫と診断されました。
整形外科に通院していますが首の痛みは消えず、業務に支障が出てしまい、仕事を辞めることになってしまいました。
通院先の医師から後遺障害等級の認定を受けるように勧められ診断書を作成してもらいましたが、申請結果は非該当でした。
後遺障害等級の認定が受けられなかったことに加え、過失相殺も分が悪いためか、保険会社から提示された賠償金額はわずか50万円でした。
交通事故から半年経ち、首の痛みは残っていますが保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われ、今は通院を止めています。
再就職のめどもつかず、痛む体でこれからどうすればいいのか分かりません。
弁護士に相談して、保険会社からの賠償金額を増額できる可能性はありますか?
【回答】
後遺障害等級認定は、必ずしも希望通りに獲得できるというわけではありませんが、症状に該当する正確な認定を受ける必要があります。
ご質問いただいた状況では、首に痛みが残る状態で後遺障害等級認定が非該当という申請結果が妥当か否かという点がポイントとなります。
過去に同じような事例で、後遺障害等級が非該当とされていた方が弁護士に依頼した結果、認定を受けられ、大きく賠償金額を増額できたケースがあります。
被害者は交通事故で利き手を骨折、可動域制限のために仕事を辞めざるを得ず、しかも間もなく症状固定時期で保険会社からの休業補償は打ち切られていました。
後遺障害等級は非該当と判断され、過失割合は5:5として保険会社からの示談提示を受けており、賠償金額は当初70万円と言われていました。
この時点で弁護士に依頼したところ、後遺障害等級認定について改めて医師と打ち合わせをし、手関節の可動域をしっかり測定のうえ、痛みやしびれ等の自覚症状をきちんと記載した後遺障害診断書を作成してもらうよう依頼し、改めて申請した結果、12級6号の後遺障害等級が認定されました。
過失割合については、交通事故の刑事記録を取り寄せて検討し直し、過去の裁判例を引き出して保険会社に反論したことで3:7へと改善でき、示談金額は当初の70万円から、最終的に7倍以上の530万円とすることができたのです。
ケースバイケースですが、本当に後遺障害等級が認定されない症状なのか、過失割合には再検討の余地がないのか考えてみる必要があるでしょう。
法律的な知識や経験がないと判断がつかない問題であるため、交通事故に精通した弁護士に相談してみることで、賠償金増額の可能性があります。
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交通事故の治療で通う整骨院を転院しても大丈夫だが、担当医や加害者側の保険会社へあらかじめ報告しておかなくてはならない。転院を繰り返すと、治療の一貫性が認められなくなるので注意する必要がある。
交通事故が原因でPTSDを発症した場合、後遺障害として認定されることもあるが、近年は厳格化しているため、事前に交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。
交通事故の患者を敬遠する医師は多いと言われ、むち打ちなどで「気のせいでは」と冷たくされる場合もある。納得いくまで治療を受けることは大事だが、後でトラブルにならないようポイントを押さえると良い。
交通事故で負った怪我の症状固定は医師が決めるものであり、痛みや改善の可能性がある場合は急ぐ必要はない。後遺障害の可能性も考えれば半年間の通院が必要である。
交通事故の怪我は、場合によって医師に信用してもらえない場合がある。むち打ちがその例で、信用してもらえないと通院慰謝料をもらえない。状況に応じて、弁護士に相談すると良い。