交通事故の示談交渉を兄弟に任せてもいいでしょうか?
【質問】
私は就職と同時に一人暮らしを始めたのですが、先日交通事故に遭いました。
現在、病院に入院をしており、実家の母が隔日で病院に来てくれて、着替えや洗濯物の世話をしてくれています。
交通事故直後に加害者の保険会社から連絡があったのですが、私が若い女性であったためか、担当者の態度がかなり横柄でした。
そのことを見舞いに来てくれた兄に話したところかなり憤慨をし、兄が保険会社と話をすると言いだしました。
私としては、しっかり者の兄が保険会社と示談交渉をしてくれた方がいいとは思いますが、保険会社の方が拒否することはあるのでしょうか?
また、兄が私の代わりに保険会社と示談交渉することで、私に何か不都合なことはないのでしょうか?
それとも、保険会社の対応が悪いことぐらいの理由で、弁護士を雇って交渉しても良いのでしょうか?
【回答】
交通事故の示談交渉は、あくまで交通事故の当事者である加害者本人と被害者本人との話し合いにあります。
例外的に、加入している自動車保険の保険会社は、相手側に対して実質保険金を支払う立場であることから、限定的に代理交渉権を得ることができます。
また、弁護士に関しては、法律上本人の代わりとなって交渉する権利を有していますので、交通事故において本人の代わりに示談交渉するのは、特別な場合を除いて保険会社と弁護士の2者しかないことになります。
しかし、通念上「年老いた母親の代わりに、子どもが保険会社と示談交渉する」というようなことが、保険会社でも黙認されているというのも事実です。
質問者の場合、兄が代わりに示談交渉をしたいとのことですが、兄には代理権がないため、保険会社が拒否をすることも出来ます。
また、いくら兄が保険会社と示談交渉をしても、示談に応じるかどうかは質問者本人が決めなければならず、示談書への記名押印も質問者自らがしなければいけません。
気をつけなければいけないのが、兄という交通事故に関係のない第三者を入れることで、保険会社と揉める可能性があることです。
兄が質問者の希望を間違えることなく保険会社に伝え、また保険会社からの話を正確に質問者に伝えることができればいいですが、間違って伝わったりニュアンスが違って伝わったりした場合には、本人が意図していないところで問題が起こることになります。
さらに、悪意のある考え方をすると、兄が質問者の保険金の横領を目的に交渉する可能性もあるため、たとえ兄妹であっても交渉を任せることはお勧めしません。
保険会社との話し合いに困っているのでしたら、やはり交渉のプロである弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士であれば、依頼主の法的な代理人として保険会社と交渉できますし、一般人が示談交渉するよりも保険金の増額が見込めるという利点があります。
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自分にも過失がある交通事故の場合、保険会社は自身が示談交渉権があることを盾に、弁護士費用特約の利用を許可しないことが多い。
個人で保険会社と交通事故の示談交渉をするのには限界があるため、示談交渉がうまくいかない場合には弁護士に任せた方がうまくいく。
交通事故の示談後に後遺症が悪化しても基本的には補償してもらえないが、示談時には予想できなかったほどの著しい悪化の場合は、示談を無効とする判例もある。
1回目の交通事故の示談前に、2回目の交通事故で死亡してしまうと、請求できる保険金額が変わってくるため、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が良い。
軽微な交通事故などの場合には、弁護士に示談交渉を依頼した結果、増額分よりも弁護料が高くなって、結果的に赤字になる可能性がないわけではない。