有給で休んでいる間でも、交通事故の休業補償は貰える?
【質問】
交通事故で1カ月ほど入院することになり、会社を休むことになりました。
会社からは、「有給が40日も余っているから、有給消化してみてはどうか?」と言われました。
有給扱いしてもらえば入院している間も給料が減らないし、仕事が忙しくて毎年有給を使い切れていなかったので、30日分の有給を使って入院治療しました。
退院後に保険会社から「現在、治療費は病院に直接支払っていますが、それとは別に会社を休んだことによる休業補償を示談時に支払います。入院した日数や通院した日数で金額が変わりますが、給料によっても変わります。」と説明を受けました。
ふと思ったのですが、交通事故の入院中であっても有給を使っていれば会社から給料が支払われるので、保険会社から休業補償がもらえないのではないかということです。
もしもらえないのであれば、有給を使ったのは失敗だったと思うのですが、どうしたらいいのでしょうか?
【回答】
サラリーマンが交通事故に遭って入院されるケースでは、「有給が余っているし、会社に言って入院中は有給扱いしてもらう」というのはよく見られます。
一方で、交通事故で会社を休んで減った給料を補償するのが「休業補償」ですので、有給で給料全額もらえているのならば、給料が減っていないことになります。
そのため、有給を使って入院をしていると休業補償の適用外となると思う方が多いと思います。
しかし、有給は労働基準法で認められている労働者の権利であり、給料が発生することから財産とも考えられています。
つまり、「交通事故により給料がなくなったが、自分の財産である有給でその穴埋めをしたのだから、休業補償で償ってもらう」という考えができます。
実際、多くの保険会社で入院や通院のために有給休暇を使っていても、休業補償日数に含めて保険金を支払っています。
有給があるのは正社員に限定されているわけではなく、パートやアルバイトであっても法律で有給休暇が義務付けられています。(勤務期間や勤務時間数により、有給がないこともあります)
また、派遣社員であっても有給があるケースもありますので、確認してみた方が良いでしょう。
もし、会社が有給の使用を認めない場合はどうしたらいいのかというと、そもそも有給は労働者の権利なので、会社の許可や承認は不要になります。
会社ができるのは「事業に支障がない時期に変更してもらうようにお願いする」ことしかできないため、法律違反となります。
会社が有給の取得を認めない場合には、労働基準監督署に訴え出るという方法もあります。
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交通事故で入院している期間の休業補償は、会社の休日(土曜や日曜など)は除外されて計算される。しかし、有給を使って休んだ分に関しては休業補償の対象となる。
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加害者が認知症の交通事故であっても被害者救済から保険金が支払われるが、加害者は認知症を理由に保険金が支払われないケースもある。