夫が遷延性意識障害となった事故の処理を妻が弁護士に依頼できる?
【質問】
主人が交通事故で遷延性意識障害となって、半年近く経ちます。
その間、夫のお世話に加えて、警察の事情聴取や加害者側の保険会社との話し合い、夫が勤めていた会社の各種手続きなど、目が回るような忙しさでした。
私自身も正社員として会社勤めをしており、夫が交通事故にあった時に1週間ほど有給を使いましたが、その後は仕事をしながらであったので、正直精神的にも肉体的にも辛くなっています。
そのため、遷延性意識障害の損害補償金の保険会社との交渉を弁護士に任せようかと思っているのですが、交通事故の保険金は被害者の夫のものであるので、妻である私が勝手に依頼できないのではないかとふと思いました。
しかし、妻なので夫の代わりに依頼しても問題ないのかなとも思い悩んでいます。
遷延性意識障害で意思確認が出来ない夫に代わり、妻が弁護士に依頼することが可能なのでしょうか?
もしできないのであれば、出来るようになる手続きはあるのでしょうか?
【回答】
日本は家族単位で考えることが多かったためか、法律の考え方も家族単位で考えることが多かったです。
そのため、以前ならば「夫の代わりに妻が」もしくは「妻の代わりに夫が」手続きをしてもほとんど大丈夫でしたが、今は夫婦と言えども配偶者が本人の代わりに諸手続きが出来なくなってきています。
交通事故の保険会社との交渉もその一つで、保険会社の交渉により被害者が受け取れる補償金の金額が変わるため、「被害者の利益に直接関係するもの」として妻が代理で行うことは禁止されています。
しかし、遷延性意識障害などで被害者本人の意思が確認できない場合には、誰かが代理で行う必要があります。
そのためには、成年後見制度で後見人を定めなければいけません。
成年後見制度は、遷延性意識障害や認知症などで本人の意思確認が取れない場合、家庭裁判所により後見人を定め、その後見人が本人の代理として資産の管理や契約をすることができる制度です。
そのため、遷延性意識障害では配偶者や子供が後見人となる事が多いです。
弁護士に依頼することについても、今の状態ですと単なる相談しかできませんが、後見人となっている場合は、夫に代わり弁護士に依頼することができます。
まずは早急に成年後見人の手続きをすることをお勧めします。
ですが、成年後見人の手続きは煩雑であるため、交通事故の依頼をしようと考えている弁護士に併せて成年後見人の手続きもお願いした方が良いでしょう。
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交通事故に遭った時、弁護士に頼む人は多く、賠償金の増額も見込める上、加害者とのやりとりも楽になる。しかし、全ての状況において弁護士に頼むのがベストかと言えば、そうではない。
交通事故の相談を弁護士にしたい場合、無料相談をしているところもあるが、条件がないか注意する。電話やネットの相談を利用していくつかの事務所を比較すると良い。
遷延性意識障害の夫の妻が後見人となろうとしても、高齢であったりして不適格であると家庭裁判所が判断すると、代わりに弁護士が後見人となる。
保険会社との交通事故の交渉の途中で、弁護士を交代させることはできるが、解雇する時に違約金が発生することもあるので注意をしなければいけない。
軽微な交通事故などの場合には、弁護士に示談交渉を依頼した結果、増額分よりも弁護料が高くなって、結果的に赤字になる可能性がないわけではない。