借金持ちの父親の死亡事故。保険金交渉も相続放棄した方がいい?
【質問】
同じ市内で独り暮らしをしていた父が、勤務中にトラックにはねられるという死亡事故にあいました。
一人娘の私が嫁いだ後、母と二人暮らしをしていたのですが、5年前に母をガンで亡くしてからは、賃貸アパートで独り暮らしをしていました。
アパートの大家から退去して欲しいとの連絡があり、遺品整理と退去を、父のアパートを整理していたところ、消費者金融のカードが数枚見つかりました。
郵便物も確認したところ、消費者金融からの封書が何通かあり、分かっただけでも180万円の借金がありました。
高校卒業後40年もずっと同じ会社に務めていて収入もあったはずなのに、なぜ借金したかはわかっていませんが、今後借金額が増える可能性もあります。
消費者金融に電話してみたところ、借金を負いたくないのであれば相続放棄することを勧められました。
しかし、死亡事故の加害者側の保険会社から示談の連絡が来ており、相続放棄すれば示談金も受け取れないかもしれないと悩んでいます。
借金を回避するためには交通事故の示談をあきらめて、相続放棄するしかないのでしょうか?
【回答】
相続は預貯金や不動産・株などプラスのものもあれば、借金などのマイナスのものもあります。
一般的にはプラスマイナス両方を相続する「単純相続」をされることが多いのですが、借金の額が多いなどと言う事からプラスマイナス両方とも一切相続しない「相続放棄」を選択される方もいます。
交通死亡事故の場合でも同様に、単純相続されるのであれば加害者側の保険会社に対する損害賠償請求権と同時に借金も相続することになります。
そのため、保険会社から支払われる損害賠償金を超える借金があるのであれば、相続放棄をした方が良いと言えます。
しかし、会社経営者やFX・株取引をしているなど特殊な事例がない限り、賃貸住まいの一般の会社員で数千万円の借金をしているのはかなりレアなケースと言えます。
質問者様の場合、人対車両の死亡事故のようですので、裁判の事例にのっとった保険金でしたら数千万になる事が予想されます。
また、父親が会社勤めで勤務中の死亡事故と言う事でしたので、死亡退職金や労災補償などがあることも考えられます。
また、消費者金融の借金も10年以上前からの借り入れであれば、借金どころか過払い金の返金があるケースもあります。
どちらにしても、金融機関や消費者金融などの借金の調査と、交通事故の内容及び保険会社への問い合わせをしなければ単純相続と相続放棄のどちらが良いか判断しかねるため、弁護士に依頼して調査及び手続きをしてもらう方が無難です。
相続放棄は、被相続人が死亡したことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てないと、単純相続したとみなされるため、早めに依頼をしたほうが良いでしょう。
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加害者が死亡した交通事故の場合、加害者が加入していた保険会社が被害者の損害賠償を行うが、保険に任意加入していなかった場合には、自賠責保険と加害者の相続人に対して請求をすることになる。
死亡事故の保険金を受け取りたくない場合、相続放棄をしても良いが、不動産などで相続したいものがある場合には、弁護士に相談をして相続の仕方を考えた方が良い。
交通事故調査会社の報告書は裁判でも証拠能力があるため、事実と異なる内容が書かれている場合は、弁護士に依頼をして再調査をしてもらった方が良い。
死亡交通事故による保険金の相続も、相続人同士の同意があれば、話し合いで相続内容を決めることができる。
金銭的に余裕がなく交通事故の示談を弁護士に依頼できない場合でも、勝訴の確率が高く示談金支払い時に着手金が回収できるのならば、分割払いや後払いと言う形で引き受けてくれるケースもある。