交通事故のむち打ちで弁護士に依頼するのはありですか?
交通事故の約3割が、一方に過失がない『もらい事故』と言われています。
もらい事故の多くは自動車対歩行者であることが多く、歩行者は道路交通法上厚く保護されているためなのですが、裏を返せばそういった被害者の多くは自分自身で加害者か加害者の保険会社と直接示談をしなければなりません。
ここで少し交通事故と保険会社の関係性を説明します。
基本的に交通事故の示談は当事者同士が話し合います。
例外として、金銭的な報酬を支払う場合は弁護士だけが代わりに示談を行うことができます。
では、保険会社の担当が示談などの話をしてくるのはどうなのかと言うと、保険会社は契約に基づき加害者の代わりに、被害者に保険金を支払う立場にあります。
そのため、保険会社が保険金を支払うケースの時のみ、保険会社が契約者に変わって示談を行う事が出来るのです。
よくある「追突事故でむち打ちを負ったから、加入していた自動車保険会社に電話をしたのに、対応してくれなかった。」というのは、『過失がないので相手の保険金を支払う必要はない。そのため保険会社が介入できない』ということからです。
むち打ちで弁護士に依頼するのはアリかナシか?
過失がない被害者が示談する際には、自分が直接するか弁護士に依頼するかの2択となるのですが、むち打ちの場合は交通事故の示談金が低額となることが多いため、弁護士費用を考えると依頼することをためらわれる方が多くいらっしゃいます。
弁護士事務所にもよりますが、仮に加害者から提示されている示談金が20万円で、弁護士が示談した場合40万円となる場合、弁護士費用は20万円かかるのであれば依頼してもしなくても同じですし、20万以上かかるのであればそのまま示談をした方が金額的には多く手に入る事になります。
『加害者の保険会社と話すのも嫌なので、費用が掛かっても弁護士に依頼する』という人もいるとは思いますが、どちらかと言えば少数派と言えます。
では、むち打ちの示談で弁護士に依頼するのは非現実的かと言うとそうでもありません。
弁護士費用を支払ってもそれ以上に示談金額が増額するのであれば、依頼する方がメリットがありますし、増額と弁護士費用が同じくらいであっても、弁護士が代わりに示談をしてくれるため、「タダで弁護士が雇えた」と利点に感じる人もいます。
もう1つの理由が、自動車保険の弁護士費用特約です。
弁護士費用特約は、自動車保険会社が介入できない交通事故の場合、代わりに弁護士を雇う費用を支払うという特約です。
弁護士費用特約が使えるのであれば、費用負担がなくなるため使わない手はありません。
弁護士費用特約の適用範囲は保険会社や契約内容によって違いますが、意外と広いことが多いです。
自動車対自動車の事故だけでなく、自動車対歩行者の事故で自身が歩行者であった場合も使えますし、契約者のみでなく同居の家族にも使えることがあります。
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交通事故の被害者は、弁護士に依頼する方が何かとプラスになる点が多い。しかし軽症のむち打ちのような場合には、適切なタイミングで利用する事が非常に重要になる。
むち打ちの保険金は低額となる傾向が強く、弁護士に依頼すると費用倒れの可能性があるが、弁護士費用特約を利用できれば、費用を気にせず弁護士に依頼することができる。
むち打ちの示談交渉では、強硬な態度に出てしまうと保険会社の心証が悪くなり、保険金が減額される可能性があるため、示談交渉では冷静に対応をした方がいい。
交通事故で負ったむち打ちで示談書を交わしたら、その後に別の不調が出たとしてもその慰謝料を求めて示談し直すのは難しい。やり直しには3つの条件があるが、クリアする確率は低い。
弁護士費用特約は、むち打ちで多く見られるもらい事故被害者らを救済するために設けられた特約である。利用すれば弁護士費用の心配がなく賠償金額を増やせる可能性があるが、使えないこともある。