交通事故で追突されてむち打ちに…過失割合はどうなる?
交通事故の約3割はもらい事故(自分に過失がない事故)と言われています。
歩行者対自動車の交通事故の場合、歩行者は法律で厚く保護されているため、過失割合が低くなる傾向があります。
一方で自動車対自動車の交通事故の場合は、お互いが動いている状態であれば、事故の当事者からすれば「あちらの方が一方的に悪いのではないのか?」というような状況でも、ある程度の過失割合が科されます。
自動車対自動車の交通事故の中で、一方に過失がない交通事故で有名なのが「追突事故」です。
停車中に後続車が追突してくる交通事故は、交通事故全体の36%を占めており、出会い頭事故の24%よりも多いです。
「赤信号で停車していたら、わき見運転の後続車が追突して、むち打ちを負った。」という事故がありますが、このような場合、追突された側の過失割合は0で、追突した側の過失割合は10となるのが基本です。
無条件に過失割合が0とならない場合も
前の車が急停車した場合でも、後続車が追突を避けられるだけの車間を空けることを義務付けた「車間距離保持義務」があり、追突した側は車間距離保持義務違反となるため、後続車の過失割合が10になります。
むち打ちの原因となった自動車事故も追突によるものが多いのですが、一概に過失割合が0となるとは限りません。
1つは駐停車禁止場所に停車していた場合です。
「駐車禁止の標識が出ていないから大丈夫。」と思っていても、道路交通法第44条では「交差点の側端もしくは曲がり角の5m以内」も駐車禁止となっているため、知らず知らずに駐車違反となっている場合があります。
2つ目は道路交通法第47条に定められている駐停車方法を守っていなかった場合です。
「車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。」とされています。
そのため、「離合困難な場所に駐車する」、「人を降ろすのに停車したいが、すでに駐車車両があるため二重駐車する」という場合は、追突されても過失割合は0になりません。
3つ目は夜間にハザードランプを灯火せず停車していた場合です。
4つ目が理由なく急ブレーキをかけた場合です。
あおり運転などで意図的に急ブレーキをかけた場合もこれにあたります。
これらの違反をしていた場合は1~3の過失割合があるため、過失割合が0とならない場合があります。
「追突事故でむち打ちを負ったけれども、治療費は追突した側が全額支払ってもらえる。」と思っていたら、実際に支払われるむち打ちの治療費は1~3割減でその分は自己負担ということもありえます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
身体の構造上、交通事故に遭うとむち打ちになりやすく、日々の習慣から首を動かしてしまうため、治りにくいときがある。軽度のむち打ちで治りが遅い場合、詐病にみられる事もあるので注意が必要である。
交通事故が原因でむち打ちになった場合には、警察に通報する・病院にすぐ行く・保険会社が提示する示談内容で示談しないことがポイントとなる。
交通事故で怪我をした直後は自律神経の中の交感神経が活発に働いていて痛みを感じにくいため、むち打ちは症状を感じにくいと考えられている。
交通事故によるむち打ちは医師の診断など第三者による証拠が重要となるため、面倒だと治療を受けない等をすると、のちの示談交渉に大きな支障をきたす。
保険会社は交通事故によるむち打ちの治療は認めても、継続治療は認められにくいといった特徴があるため、完治するまではむち打ち患者側も対応策をとる必要がある。