むち打ちの治療費における自賠責保険120万円の壁とは?
「加害者の保険会社は、初めはむち打ちの通院をしていても何も言ってこなかったのに、2週間ほどしたら口うるさく確認の電話をしてきて、1か月たったら治療費の打ち切りをされた。」といった治療費の打ち切りの話、特にむち打ちの場合は、弁護士にも相談として寄せられます。
保険金を支払う=保険会社の損失となるので、保険金の支払いを渋るのは今に始まった事ではないのですが、むち打ちなど比較的軽症の場合には、自賠責保険が関係してきます。
自賠責保険では、傷害に対する損害賠償金の上限は120万円です。
この、『損害賠償金』というのが一般の方からすると分かりにくいのですが、大きなもので『治療費』『休業補償』『通院慰謝料』が損害賠償金に含まれます。
治療費は文字通り交通事故で負ったむち打ちの治療費なのですが、交通事故の場合は健康保険が使えませんので、過失割合に応じて自費となります。
普通に治療を受けた場合には3割負担である事が多いのであまり感じないのですが、10割負担に換算した場合レントゲン1枚で1万円、初診料3000円、投薬5000円などと、決して安い金額ではありません。
そのため、MRIやCTといった丁寧な検査を何回もしたり、3週間で10回以上まめに通院したりすれば、治療費はかなりかかってきます。
保険会社の本音とは?
交通事故で通院をした場合は、通院慰謝料が支払われるのですが、実通院日数×2か治療期間のどちらか少ない方に、4,200円をかけたものになります。
例えば、3週間(21日)で10回通院していた場合、治療期間は21日・実通院日数×2は10×2=20なので、少ない方の20が使われます。
このケースでは、4,200×20=84,000円が通院慰謝料となります。
休業補償は交通事故で負ったむち打ちが原因で会社(自営業)を休んでしまい、減ってしまった給料(利益)の補てんをするものです。
むち打ちの場合、会社を休んでの自宅療養期間は短めであるのと、被害者の収入によって大きく変わるため一概に言えませんが、数万円になると思われます。
保険会社から支払われる損害賠償金は、全額保険会社が出しているわけではなく、120万円までは自賠責保険から支払われ、それを超えた場合は保険会社が支払う形になっています。
つまり、120万円までは保険会社も負担が無いため対応も緩やかなのですが、120万円を超えると負担が生じるために、『むち打ちの治療費の打ち切り』を言ってきたりするのです。
被害者からすればむち打ちが完治するまで十分な治療を受けるのは当然の権利なのですが、保険会社の本音としては自賠責で収まる範囲で治療を済ませてほしいのです。
保険会社からの治療費の打ち切りを打診された場合には、一度弁護士に相談をしてみた方が良いでしょう。
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むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
自賠責保険の怪我の治療費などの支払い上限は120万円であるため、むち打ちの治療費などが120万円を超えると、保険会社は治療費の打ち切りを言ってくることが多い。
保険会社はむち打ちの治療費の打ち切りを早期に言うことがあるが、医師から通院の勧めがある場合には通院を続けた方が良い。不当な打ち切りであれば弁護士から抗議してもらう方法もある。
交通事故のむち打ちで、間違った情報をもとに相手や保険会社と交渉すると不利となるため、正しい情報を知っておく必要がある。
むち打ちの治療で整体院の利用を保険会社に断られた場合、整体院の方から連絡をしてもらうからめ手を使うことも効果的である。