交通事故によるむち打ちでよく耳にする間違った情報について
交通事故と言うと歩行者が死亡したり、運転手が大けがを負うといった大きなものを思い浮かべると思いますが、交通事故の多くはむち打ちや打撲といった、比較的軽症のものが多いです。
交通事故に遭った人の話を耳にすることも多いと思いますが、その情報の多くが間違って広まっていたり、現在では当てはまらないこともあります。
そのため、デマとも言える間違った情報が独り歩きしてしまい、いざ交通事故の当事者となった時に相手方や保険会社との意見の違いが生じて、示談交渉がうまくいかなくなることもあります。
むち打ちも無条件には認められない
ここでは、交通事故のむち打ちでよく耳にする情報の間違いを検証していきます。
1.「交通事故に遭ったら、痛みはなくてもむち打ちだと言っておく」
昔はむち打ちの診断は患者の自己申告による痛みと、医師の目視による所見であったため、このような情報が広まりました。
保険会社の方も交通事故でむち打ち症状を訴える患者がでることは織り込み済みですので、保険会社の多くはむち打ちの治療費を認めています。
しかし、交通事故による衝撃の規模などを考えて、軽微なものであると1週間足らずで治療費の打ち切りを言ってきたり、あまりにも軽微な交通事故であるとむち打ちすら認めないケースもあります。
もし、むち打ちの症状がないにもかかわらず、むち打ちを装った場合には詐病ですので、保険金などを受け取った場合には詐欺として訴えられる可能性もあり、注意が必要です。
2.「保険会社はむち打ちの治療費を支払ってくれない」
2・3日で完治するむち打ちの場合、保険会社はむち打ちを認めないのではないかと思われる方も多いですが、逆に交通事故直後から医師による診察を受けて、短期間の治療で終わったむち打ちの場合は、むしろ治療費を支払って示談交渉を進めるケースが多いです。
自賠責保険から支払われる120万円の範囲であれば、保険会社自体が持ち出す保険金がないため、軽微な交通事故で被害者側が数日のむち打ちで済んでいるのならば、保険金を支払った方が示談はスムーズに進むからです。
3.「むち打ちでも保険会社との交渉を引き延ばせば、何百万円もの保険金がもらえる」
むち打ちの診断はグレーゾーンのものが多くあり、昔は素性の良くない者が保険金目的でゴネるということもありました。
そもそも、医学的所見のないむち打ち症の場合、3日~3週間程度で完治することが多く、治療費や通院慰謝料・休業補償だけで数百万円というのは、通常は考えられない金額になります。
車両保険や治療費などが高額となるケースもありますが、支払った分の実費を保険で支払う形になるため、被害者自身の利益はほとんどないと言えます。
最近では保険会社も悪質な相手に対しては、保険会社が雇った弁護士が対応することが増えていますので、間違った情報をもとに示談交渉すると自分の首を絞めかねません。
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むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
示談後にむち打ちの後遺症が出た場合でも、保険会社から追加して補償が受けられることはなく、裁判で認めてもらう場合でも多くの証拠が必要となる。
交通事故のむち打ちの症状固定をした後も通院を続けた方が、後遺障害認定の時に認定されやすくなったり、示談交渉で有利となることもある。
むち打ちの示談交渉で、早期に示談を受け入れるのはよくないが、示談を引き延ばすのもよくないため、示談の金額などは弁護士に相談をした方が良い。
交通事故によるむち打ちは医師の診断など第三者による証拠が重要となるため、面倒だと治療を受けない等をすると、のちの示談交渉に大きな支障をきたす。