交通事故のむち打ちは放置しておくとどんなリスクがある?
交通事故による怪我の代表格とも言えるむち打ち。
衝突時のスピードがそれほどでもなかったとしても、重い頭部を支える細い首にかかる負荷は相当なものになり、その結果むち打ちの症状を引き起こします。
すぐには痛みやしびれなどを感じず、数日経ってから気づくことが多いのがむち打ちの特徴であり、そのため、病院の受診を後回しにしてしまうことがあります。
交通事故のむち打ちを放っておくことのリスクには、健康面と補償面、2つの側面を考える必要があるでしょう。
むち打ちでは首や肩が痛んだり重くなったり、しびれたりするだけではありません。
首とつながる腕や頭にも痛みを感じることがあります。
首が回らなくなる状態は辛く、生活に支障をきたします。
そのほか握力の低下や足、指先の麻痺、吐き気や目のかすみ、めまい、疲労感などもむち打ちによる症状です。
こういった痛みや違和感は、一見首とは関係がないように思えるため、放置していたり、的外れな処置をしてしまうと、痛みやしびれが進行したり長引いてしまう恐れがあります。
むち打ちの放置は損害賠償に影響あり
次に知っておきたいのが補償面、つまり損害賠償時のリスクです。
むち打ちの損害賠償額を大きく左右するのは、後遺障害等級認定の有無です。
より重い障害と認定されるほど、請求できる賠償金額は高額になります。
むち打ちの症状を放置し受診が遅くなると、まずむち打ちと交通事故との因果関係の証明が難しくなります。
後遺障害等級の認定で因果関係の有無を判断する材料となるのが、交通事故後すぐの受診、その後の通院頻度、そして最低半年間の通院期間があるかどうかです。
むち打ちを放置しておくことで、「痛みやしびれは当該交通事故以外で負ったものかも」と判断されてしまうのです。
むち打ちの症状の医学的証明も、交通事故から時間が経つほど難しくなってしまいます。
たかがむち打ちと放置すると、実際には痛みやしびれがあるのに相応の賠償金を請求できない状況になってしまうリスクがあります。
健康面と補償面のリスクを考え、その時の痛みは強くなくても、交通事故後すぐに精度の高い画像診断を受けておいたり、必要に応じて神経学的検査なども受けておく方が良いでしょう。
交通事故の被害者となり行動する際には、いくつかのポイントがあります。
後悔しないで済むように、一度、交通事故処理に長けた弁護士に相談してみることをおすすめします。
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交通事故によるむち打ちが原因でうつ病を発症した場合、むち打ちの重症性や治療期間が重視されるため、原因であるむち打ちの医学的な根拠がなければ、うつ病の発症原因と認められる可能性は低い。
交通事故によって負ったむち打ちの治療中に治療費を打ち切られた場合には、医師に治療の必要性を認めてもらい、弁護士を通じて加害者側と示談するとよい。
むち打ちの治療のために薬が必要となった場合、相手側に請求できるのは医師が診察の上で発行された処方箋の薬の購入費用のみになるため、自己判断で購入した薬は自己負担となり請求できない。
交通事故による怪我で多いむち打ちの症状は損傷箇所・程度によって、痛みやこりのほか、めまいや頭痛など様々である。画像診断のほか神経学的検査や医師の所見も含めることで症状を証明することができる。
むち打ちとなって治療を受けても症状が良くならないことが明らかになったら、後遺障害診断書を書いてもらえば、むち打ちによる後遺障害等級認定の申請ができる。