むち打ちで休業補償を認めてもらうために必要なものとは?
交通事故に遭ってむち打ちとなった場合には、首の痛みやしびれのほかに、吐き気やめまい、腕や指先までのしびれなどが発症することがあります。
よく、「むち打ちぐらいで大げさな」と言う人もいますが、吐き気やめまいがあれば仕事どころか日常生活にも支障が出ます。
また、下を向いてするような仕事であったり、繊細な器具などを手作りするような仕事に従事している場合には、一般的なむち打ちの症状があるだけで仕事がまったく出来ないといった可能性もあります。
そのため、交通事故でむち打ちとなった患者の中には、会社を休んだ事による休業補償を相手側の保険会社に請求することがあるのですが、これが一筋縄ではいかない事の方が多いです。
もともと、保険会社のむち打ちに対する考え方は、「むち打ちは、頸椎捻挫という首の筋肉の捻挫であるから、病状が重いものは少なく、完治までに時間がかからない」というのが大前提にあるからです。
統計でも、むち打ちの完治までの期間は2週間までのものが圧倒的に多く、1カ月以内の完治がほとんどを占めています。
そのため、むち打ちで痛みや腕のしびれがひどく、2カ月会社を休んだとしても、保険会社が全期間の休業補償を認めることは非常に稀ということになります。
保険会社に休業補償を認めてもらうには?
では、保険会社に休業補償を認めてもらうにはどうすればいいのかというと、2つの大きな書類が必要になります。
1つは診断書で、もう1つは会社が発行する休業証明書になります。
診断書はもっとも重要な証明書類になるのですが、「レントゲンやCTなどでも異常が認められず、痛みの症状なども患者からの自己申告のみなので、一般的なむち打ちの完治期間の2週間までしか発行しない」といった医師もいます。
そのため、通院している整体術師にむち打ちの証明書を発行してもらい、診断書の代わりにしようとする方もいますが、保険会社だけでなく裁判となった場合でも、医師が発行する診断書よりも信頼性が低いものとして取り扱われることが多いので要注意です。
また、会社が発行する休業証明書は、むち打ちのために休んだり、遅刻・早退をした実際の日数を証明するものになりますので、必須となります。
しかしこれもまた、「休んだ日数を会社が証明する」という証明だけですので、医師が発行した診断書の必要療養期間とリンクしていないと認められづらいと言えます。
もし、医師の診断書に「頸椎捻挫のために2週間の療養を要す」と書かれているのに、1カ月間丸々むち打ちで休んだとしても、保険会社が認める休業補償期間は2週間となります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の被害者本人が、むち打ちだと思うのが自覚症状(自覚所見)で、医師がMRIなどの画像でむち打ちと判断するのが医学的他覚所見である。
むち打ちは、自分の健康保険を使って治療することができる。特に、被害者の過失割合が大きい場合は、健康保険による治療により、受け取る保険金が増えることがある。
交通事故によりむち打ちとなった場合、むち打ちが完治するまで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。
保険会社は交通事故によるむち打ちの治療は認めても、継続治療は認められにくいといった特徴があるため、完治するまではむち打ち患者側も対応策をとる必要がある。
むち打ちの治療期間の多くは3か月以内で完治するものが多いが、むち打ちの症状によっては症状が長引くこともあるので、保険会社が治療費の打ち切りを言ってきても、医師の指示があれば治療を続けられる。