むち打ちの症状が出たらすぐに人身事故に切り替えを!
軽微な交通事故の場合、「物損事故で、お互いの自動車の修理だけにしましょう」と言われることがあります。
自動車や物が壊れただけの物損事故と、人が怪我を負ったり死亡したりした人身事故では、その後の警察の対応や刑事罰責任の有無が大きく変わるため、交通事故の当事者さえも物損事故で済まそうとする傾向が強いです。
もちろん、自動車の修理だけで済めば物損事故でもよいのですが、後にむち打ちの症状が出た時には物損事故扱いにしたことが厄介になります。
相手方からすれば、「後から言ってこられても困る。本当に交通事故で負ったむち打ちかもわからないし」となりますし、保険会社としても「物損事故として警察に取り扱われているので、むち打ちの治療費は出せません」と言う対応になります。
では、交通事故でむち打ちの症状が出たらどうすればよいのかと言うと、すぐに医療機関にかかり診断書を発行してもらい、警察に届け出て物損事故から人身事故に切り替えてもらいましょう。
相手方がタクシー運転手やトラック運転手などの職業運転手で、人身事故により免許停止や免許取り消しなどの可能性がある場合には、相手方が強く人身事故にすることに反対されることがありますが、人身事故の切り替えは一方の申し立てだけでできます。
人身事故と認められない場合もある
では、むち打ちの診断書を持って警察に行けば、物損事故から人身事故に切り替わるかというと、必ずしもそうではありません。
交通事故から日にちが経ってから病院に行っても、むち打ちの原因が交通事故なのかどうか判断がつかなくなるため、人身事故に切り替えられないことがあります。
交通事故から1週間たつと「交通事故が原因」と認められない可能性が非常に高いため、むち打ちの症状が出た場合には即日、遅くとも翌日には受診した方が良いでしょう。
反対に言えば、交通事故の翌日にむち打ちの症状が出たため、その日に受診して日付の入った診断書を発行してもらえば、後日たとえば交通事故から10日後に警察に申請に行っても、人身事故と認められることがほとんどです。
もう一つ、人身事故と認められにくいのが、自動車と直接接触していない場合です。
「自動車と接触していないのに、むち打ちになるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、「自転車の運転手が走ってきた自動車を避けるのに、ハンドル操作を誤り転倒」と言ったケースでは、自動車には直接あたっていませんが、自動車が原因であるため交通事故となる事があります。
ですが、自動車の運転手が交通事故と認めなかったり、転倒時の壊れた自転車の保障は認めても、「たかが転倒ぐらいでむち打ちにならない」と認めないこともあります。
また、警察も直接接触していないため、むち打ちの診断書を持って行っても人身事故と認定してくれないケースもありますので、そういった場合には弁護士に相談した方が良いでしょう。
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軽度のむち打ちであっても、警察の人身事故の取り扱いと、医師による診断書がないと、保険の支払い対象とならないため、必ず病院に行く必要がある。
むち打ちの治療費を保険会社に支払ってもらうためには、人身事故によるむち打ちで治療を受けていることが第一条件であるため、医師などに交通事故が原因である旨を伝える必要がある。
むち打ちの症状があるにもかかわらず、物損事故で交通事故を処理する場合には大きなリスクがあるため、肝に銘じておく必要がある。
むち打ちの治療期間の多くは3か月以内で完治するものが多いが、むち打ちの症状によっては症状が長引くこともあるので、保険会社が治療費の打ち切りを言ってきても、医師の指示があれば治療を続けられる。
軽い事故だからと物損事故で済ませて、後にむち打ちなどの症状が出ても、人身事故に切り替える際に問題が生じる場合もあるため、事前に人身事故になる可能性もあると相手方に伝えておく方が良い。