死亡事故で支払われる逸失利益の計算方法について
死亡事故が発生しますと、ご遺族は賠償金として何種か請求できる項目があります。
その内の一つに逸失利益というものがあります。
逸失利益とは、死亡事故に遭わず、被害者が生存していた場合に得られていた収入、そして利益の事を指し、損害として扱われるのです。
死亡事故において、逸失利益を請求する権利は相続人にあり、加害者に逸失利益の損害賠償請求が可能となります。
この逸失利益を計算するにあたり、被害者の基礎収入はもちろん、生活費の控除率であったり、就労が可能であった年数だったり、様々な要素が絡んできます。
一見すると、仮に会社員だった場合には基礎収入を定年分まで計算すれば良いと思うかもしれませんが、逸失利益の計算はそれほど単純なものではありません。
生活費控除を考えたり、ライプニッツ係数を考慮したりしなければなりませんので、実際には少々複雑な計算により算出されます。
逸失利益はどう計算される?
逸失利益の基本は、年収と就労できる年数を乗じる事が基本ですが、その他に絡んでくる要素があります。
それがまず、生活費控除です。
簡単に述べますと、仮に被害者が死亡事故に遭わず、あるいは死亡せず生存していた場合、当然ですが生活費が発生します。
そして、収入があったのなら、そこから生活費を支払っていくはずです。
逸失利益として年収の全てをそのまま受け取ると、実際には出費とならない生活費の部分までもらえる計算になってしまいます。
例えば年収が500万円としまして、年間にして250万円の生活費がかかる予定だとしますと、その差額である250万円を補償するという計算になるのです。
また、生活費の控除率は亡くなった被害者の立場も関係し、例えば家族を収入で支える方であり、扶養者が1人なのか、はたまた2人なのかという事で控除率は変化します。
続いてライプニッツ係数についてですが、これは本来、利息を計算する際に用いられるものなのです。
逸失利益は示談の時にまとめて支払われるのですが、これから20年間分の給料をもらえるとして、それを貯蓄しておけば利息が発生します。
将来的な収入を示談の時にもらうため、発生してしまう利息分を減らして支払うというものです。
これらのほか、実際には慰謝料を算出したり、過失割合を考慮したりするなど、いくつか考えなければならない事があります。
大切なご家族が亡くなられた状態で、冷静かつスムーズに対応していくのは難しい事です。
正確かつ正当な金額を算出し、加害者側に主張するためには、弁護士を雇う事が一つの選択肢としてあげられるでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の被害者が未成年であった場合は、18歳以上の給与所得者などとは異なる計算方式で逸失利益が計算される。
死亡事故となった場合に、今後得られるはずだった収入を請求する逸失利益は、収入全てをもらえる訳ではない。そこには控除される項目があるため、確認しておくべきである。
交通死亡事故でひき逃げや飲酒運転、証拠隠滅など加害者に悪質な事由がある場合、慰謝料が増額された判例がある。賠償金額が大きく違ってくる可能性があり、交通死亡事故に強い弁護士へ相談すべきである。
賃貸オーナーの場合、収入は所有する不動産が生み出しているため、死亡事故で亡くなったとしても、逸失利益が認めてもらえないケースもある。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。