死亡事故となり依頼した場合の弁護士費用、その内訳について
身内が交通死亡事故に遭い、弁護士に相談したいと思っても、「弁護士費用を捻出できないから」と躊躇する方は少なくないと思います。
弁護士費用とは、依頼者が弁護士に対して支払う「弁護士報酬」と、「必要経費」とを合算したものです。
弁護士報酬は2004年から自由化されていて、弁護士が自由に料金を設定できます。
より詳しく見てみると、着手金、報酬金、手数料、法律相談料、日当、鑑定料、顧問料といった項目に分かれます。
必要経費とは、裁判手続きなど弁護活動全般に必要な諸経費であり、収入印紙代や交通費、通信費、コピー代、保証金や供託金などが該当します。
依頼内容によって金額は様々ですが、意外に費用がかさむこともあり注意が必要です。
必要経費は実際に弁護士が依頼人に代わり立替えた費用ですが、弁護士報酬は弁護士が独自に決めるものなので、一般人には目的が分かりにくい傾向があります。
まず着手金は弁護活動を開始するのに必要な資金です。
法律相談料もしくは相談料は、言葉の通り法律相談を行った時間に対する料金で、弁護士により、例えば30分5,000円(税別)というように決められています。
これらは明示されているので、予想外の金額になることはなく、いずれも弁護活動の結果に左右されない費用で、返金されることはありません。
着手金・相談料無料を謳うところも
弁護士費用が高いという印象を与えるのは、「報酬金」の存在のためではないでしょうか。
報酬金は弁護活動の結果に比例して増減し、例えば死亡事故の被害者からの依頼で損害賠償金を増額できればそれだけ報酬金は増え、損害賠償金が少なくなれば報酬金の支払いは減ります。
報酬金をどのように算出するのかは、依頼前に確認しておきます。
近年では任意保険による弁護士費用特約の利用者増加の影響もあって弁護依頼件数が増えたり、弁護士同士の依頼者獲得競争の結果、「着手金・相談料ゼロ(無料)」を謳うところが増えています。
この場合、先に挙げた着手金と相談料は報酬に含まれません。
報酬金の設定を見てみると、「報酬20万円+回収額・・・交通死亡事故で言えば損害賠償金額の10%」といった内容になっており、依頼したほうが得かどうかの判断材料となります。
報酬の計算方法やどの費用を含めるかなど、金額設定は弁護士によって異なるので、個別に確認する必要があります。
複数の弁護士にいったん相談し、費用を比較すると分かりやすいかもしれません。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の被害者が示談交渉で困ったら、日弁連交通事故相談センターに無料で相談できる。日弁連交通事故相談センターでは、損害賠償額の計算や、過失責任と過失割合の相談などができる。
死亡事故で損害賠償についての示談交渉が難航したら、交通事故紛争処理センターに相談すると中立の立場で相談に乗って和解を提案してくれる。
家族が死亡事故に遭った場合は、いち早く弁護士に相談するのが望ましい。大切な人を死亡事故で亡くしたなかで冷静に判断するのは難しいものの、弁護士選びは慎重に行わないとならない。
死亡事故の示談交渉の時に弁護士費用特約は必ず利用できるとは限らず、死亡事故のように保険金が高額の場合には弁護士費用が弁護士費用特約で賄いきれないこともある。
自賠責では死亡事故の保険金支払額の上限が3000万円で、損害賠償金額がそれ以上であっても示談金を3000万円ほどしか提示してこない保険会社が多いため、事前に弁護士に相談をしておくとよい。