夫が交通事故で死亡した際、未成年の子供が損害補償金を受け取れる?
【質問】
夫が交通事故で亡くなり、現在加害者側の保険会社と示談のための話し合いを重ねています。
私たち夫婦には、高校3年生の息子と中学3年生の娘がいます。
交通事故で亡くなってすぐに夫名義の不動産を私が2分の1、息子と娘がそれぞれ4分の1ずつの法定相続分通りの持ち分で相続登記しました。
ふと思いついたのですが、損保会社から支払われる死亡損害補償金も、法定相続分通り分配した方が良いのでしょうか?
仮に死亡損害補償金が4000万円支払われたら、1000万円ずつ子供に分配されるため、未成年の間は私が管理できるからよいのですが、成年となってすぐに無駄遣いされるのではないかと危惧しています。
逆に子供に多い目に渡しておく方が、将来的に私が亡くなった際にもめなくて済むのではとも考えています。
それにそもそも未成年が死亡損害補償金を受け取れるのかが疑問で、法律的にはどうなっているのでしょうか?
【回答】
交通事故の死亡損害補償金は亡くなった被害者に関係するものになるので、相続人が法定相続割合分の請求権を有しています。
質問者の場合には、妻が2分の1、息子と娘がそれぞれ4分の1ずつ、法定相続割合持っているため、質問の通り4000万円の死亡損害補償金が支払われ法定相続割合で分割すると、妻が2000万円、息子と娘が1000万円ずつ受け取ることになります。
しかし交通事故の死亡損害補償金は相続財産とは違うため、請求権を有する者同士で協議をすればよいので、妻子供すべての同意が得られるのならば、妻が一人ですべて受け取ってもよいですし、子供が多い目に受け取っても問題はありません。
気になるのが相続税だと思うのですが、死亡損害補償金はもともと相続財産ではないため、相続税が課税されることはありません。
死亡損害補償金は受け取った人の所得として取り扱われますが、死亡損害補償金は遺族の生活保障としての意味合いが強いため、所得税もかかりません。
しかし、死亡損害補償金を受け取って数年後に、母親から息子に年間110万円を超えて与えた場合には、贈与税がかかる可能性があります。
ですが、死亡損害補償金以外の財産の多寡にもよりますが、一旦妻がすべての死亡損害補償金を受け取り、その中から子供の教育資金を支払ったり、毎年贈与税がかからない範囲で子供の口座に移したり、子供がマイホームを購入する際の資金援助の税制特例を使って贈与するなど、様々な方法で少しずつ譲り渡す方が良いのではないかと思います。
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交通事故によって死亡した被害者に借金があった場合、そのまま相続する場合と比べて様々な手続きが出てくるため、法的な手続きは弁護士に任せた方が良い。
お互いに相続人の関係が発生する人が、交通事故などで同時に死亡した場合には、お互いにお互いの相続人となる事は出来ないが、同日に死亡であっても時間がずれていれば順に相続が発生する。
無免許運転の自動車と交通事故を起こした場合でも、加害者の車両に任意の自動車保険がかけられているのであれば、その保険会社より保険金が支払われることが多い。
死亡交通事故による保険金の相続も、相続人同士の同意があれば、話し合いで相続内容を決めることができる。
死亡事故の保険金を受け取りたくない場合、相続放棄をしても良いが、不動産などで相続したいものがある場合には、弁護士に相談をして相続の仕方を考えた方が良い。