夫が遷延性意識障害に、妻の私が交通事故の示談交渉が出来ますか?
【質問】
4か月前に夫が交通事故を起こし、遷延性意識障害となりました。
先日、保険会社から示談交渉の相談をしたいとの打診がありました。
被害者である夫は遷延性意識障害で意思確認ができませんので、妻の私が代わりに保険会社と交渉しようと思っています。
亡くなった大叔母も、20年くらい前に大叔父が脳溢血で植物状態となり、手続きをすべて代わりにしたと聞いたことがあり、妻の私がするのならば問題がないと思うのですが、本当に大丈夫でしょうか?
もし、妻であってもダメであって、代わりに交渉するための必要な手続きがあるのならば、教えてもらいたいです。
【回答】
以前ならば、配偶者であれば、無条件にもう片方配偶者の代理となれたため、質問者の大叔母様のように特別な手続きなしに配偶者の代理人となる事が出来ました。
しかし、現在は法律が変わり、配偶者であっても無条件に代理人となれるわけではなく、家庭裁判所に成年後見の申請をしなければなりません。
成年後見制度は、認知症などで判断能力に乏しい人に代わり、財産管理をしたり不動産売買などの大きな契約を制限したりする制度です。
交通事故で損害保険会社との交渉をするのは被害者の権利なのですが、交通事故で遷延性意識障害となっている場合には成年後見人となった方が代わりに行うことになります。
損保会社から支払われた損害補償金も被害者のものなので、本来ならば被害者の治療費に充てるためでも勝手に使うことは許されません。
ですが、成年後見人であれば、被害者の治療や福祉のためならば、損害補償金や被害者名義の預貯金を使用することができます。
損保会社との交通事故の示談はもちろん、この先の財産管理に関しても成年後見制度は必要となるので、すぐにでも手続きをする必要があります。
成年後見は書類を揃えて家庭裁判所に提出して、2~6カ月後に許可か不許可の判決が下されます。
遷延性意識障害の場合には、患者の意思確認が取れないことは明らかであるため、認知症患者などに比べて許可が下りやすく、しかも1カ月ほどで判決がおりる場合もありますが、損保会社との交渉の事を考えると、遷延性意識障害の診断がおりた場合にはいち早くしたい手続きの一つです。
ですが、「成年後見の手続きをしている時間がない」「必要書類を揃えたり、記入したりするのが難しそう」と言う場合には、成年後見の申請を弁護士に依頼する方法もあります。
すでに交通事故の相談をしている場合には、追加して相談をしてみると良いでしょう。
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弁護士特約とは、交通事故の紛争を解決するための弁護士を雇う費用を保険会社が支払うもので、契約者にとって恩恵が多い自動車保険特約である。
自分にも過失がある交通事故の場合、保険会社は自身が示談交渉権があることを盾に、弁護士費用特約の利用を許可しないことが多い。