死亡事故における弁護士費用特約の有効性
死亡事故の損害補償金、一般的に保険金と言われる金額は、近年の被害者保護などの面から上昇傾向が見られます。
そのため、死亡事故の遺族と加害者側の保険会社とで、保険金額の差が大きすぎて訴訟となるケースもあります。
実際、交通事故に遭われた方の中で、保険会社から提示された保険金額に対して不満を持つ人が圧倒的に多く、裁判費用や弁護士費用の負担がなければ、弁護士に相談をしたり裁判をしたりすることを希望する人も少なくありません。
そこで、おおいに役に立つのが弁護士費用特約です。
弁護士費用特約とは、損害保険会社により多少変わりますが、おおよそ300万円まで弁護士費用を保険会社が負担する特約になります。
「特約」と言う事で任意加入ではありますが、保険会社によっては自動車保険の本体に自動付帯していることもあります。
そのため、「弁護士費用特約を付けた覚えがないし、夫の死亡事故では弁護士費用特約は使えないな…。」と思い込んでおられる遺族もいますが、実際の弁護士費用特約の加入率は保険会社により差がありますが、約56~73%と高い水準です。
しかし、実際の弁護士費用特約の利用率は0.05%と低い水準で、自分の自動車保険に弁護士費用特約が付帯していることを知らない人が多くいるのが実情です。
「弁護士費用特約を利用=裁判」ではない
弁護士費用特約を利用しない他の理由としては、「弁護士に依頼するのは大げさだ」と考える方が多いことも一因です。
「保険金は100万円くらいと言われているので、弁護士に依頼するまでもないか」「弁護士に依頼しても、保険会社との交渉がうまく行かなかったら裁判になってしまう」と、弁護士の立場からすると誤解であったり、依頼者の杞憂であったりすることがほとんどです。
一口に100万円と言っても自分の月収の何か月分になるか計算をしたら、少額ではない方がほとんどでしょう。
保険会社も裁判は最終手段であり、本当に依頼人の事を考えている弁護士ならば裁判を回避しつつ少しでも高額の保険金が受けとれるように、ギリギリの交渉を重ねるはずです。
弁護士費用特約は利用したとしても、保険更新時の等級が上がりませんし、保険会社によっては弁護士を依頼するのではなく、弁護士に必要書類を作成してもらう費用の負担を認めているところもあります。
しかも、弁護士が保険会社と交渉することにより、90%以上の割合で初めに保険会社が提示した保険金額が上昇し、時として5倍以上のアップとなる事もあります。
つまり、弁護士費用特約の利用はノーリスクに近いローリスクで、ハイリターンが期待できる特約なのです。
特に死亡事故の場合は初めの保険金の提示額が何百万何千万となるので、弁護士費用特約が付いている場合に利用するとしないでは、のちのち保険金に何千万もの差が出ることも珍しくありません。
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交通事故で怪我を負ったり、あるいは死亡事故となってしまったりした場合、弁護士に依頼すると被害者の負担を減らせる。弁護士費用特約により、被害者は弁護士費用の負担を減らす事が可能である。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。
家族が死亡事故に遭った場合は、いち早く弁護士に相談するのが望ましい。大切な人を死亡事故で亡くしたなかで冷静に判断するのは難しいものの、弁護士選びは慎重に行わないとならない。
家族が死亡事故に遭った場合、遺族は相続の手続きをしなければならない。ある程度期間が設けられ、注意しなければならない点もあるため、把握しておくべきである。
交通死亡事故で労災認定を受けた場合には、労災と自動車保険の両方を利用する方が、受け取れる保険金の合計額が多くなることが多い。