「右肩関節周囲炎」「右肩腱板損傷疑い」により500万円以上が支払われた事例
事例提供:よつば総合法律事務所
【事例】
千葉県在住の男性の方の事案です。被害者の方は、自転車で路肩を走行していました。前方に停止していた自動車の横を通り過ぎようとした矢先、自動車の運転席側のドアが突然開きました。被害者の方は、避けきれず衝突し、自転車毎路上に転倒し、右肩を強打しました。
被害者の方は、その後救急搬送され、右肩の脱臼、腱板損傷の疑いと診断されました。
半年以上通院したものの痛みは改善せず、後遺障害診断書の作成に至りました。
後遺障害診断書上の病名は「右肩関節周囲炎」「右肩腱板損傷疑い」でした。
結果、後遺障害等級14級9号が認定され、話し合いで500万円以上が支払われました。
【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:よつば総合法律事務所
■後遺障害診断書の記載における工夫
後遺障害の認定の上では、後遺障害診断書における記載が大変重要です。
本件では、さまざまな検査を行いましたが、腱板損傷の確定的な診断名はつきませんでした。
しかし、被害者の方は右肩に事故直後から一貫して強い痛みを訴えていらっしゃったので、この点を何とか後遺障害として認定してもらうべきだと考えました。
そこで、主治医に他機関でとったMRIの資料を見ていただき、少なくとも腱板損傷の疑いがある旨を主治医の客観的な意見として後遺障害診断書の傷病名に記載してもらいました。
また、他覚症状の欄に、「MRIにて腱板付着部に不整像の所見を認める」旨主治医の客観的な意見として記載してもらいました。
検査にあたっては、ご本人に肩関節の可動域制限の仕組みと計測方法について詳しく説明し、正しい検査・計測がなされるように注意をしました。可動域制限の事案の場合、一度不正確な可動域結果を後遺障害診断書に記載されてしまうと、修正のお願いをすることは困難です。
また、リハビリの理学療法士が可動域測定をする病院、医師自身が可動域測定をする病院など色々な病院がありますので、適切な依頼を適切な方に行うことが大切です。
■賠償基準について
本件では、被害者の方は、右肩痛により労務や日常生活に重大な支障をきたしていました。この点を強く主張し、逸失利益については、同様の後遺障害14級9号の事案水準以上の高額な賠償内容で訴訟提起前和解をすることができました。
入通院慰謝料はいわゆる赤い本の別表Ⅰ、後遺障害慰謝料は赤い本の標準の110万円で早期に解決することができました。
14級9号の事案の場合、入通院慰謝料の額が少ない別表Ⅱを保険会社が提示してくることがありますが、この点についても具体的な傷病名や症状を検討することが必要です。別表Ⅰ、別表Ⅱについては1つの基準ですので、最後まで粘り強く慰謝料の交渉を続けることが必要です。