20代の事故時無職の男性が、股関節脱臼骨折で12級が認定され、休業損害分も含めて総額1400万円以上を獲得した事例
事例提供:弁護士法人アルマ
【事例】
Aさんは、福島県の県南地方出身です。東日本大震災が起こるまでは、九州で働いていました。父母も高齢になってきたこともあり、また、震災が起こってから地元に戻りたいという思いが強くなり、実家に戻りました。
もともとは、工場で勤務をしており、年収は350万円程度ありました。
九州の会社を退職後、すぐに実家に戻りました。ハローワークにも登録して、就職活動をはじめました。
その矢先に、交通事故の被害に遭いました。左股関節脱臼骨折という重い傷害を負い、退院した後も、長期にわたり、働くことはできませんでした。
働くことができなかった期間は、約1年になりましたが、この間、相手の保険会社は、「事故当時無職であった」という理由で休業補償を一切支払いませんでした。
弊事務所は、自賠責からの後遺障害の認定が12級13号の後遺障害認定を受けた直後に依頼を受けました。
受任後に、保険会社と交渉したところ、事故前に仕事を失っていたことから休業損害と後遺障害逸失利益、特に算定の基礎となる収入額が主たる争点となりました。保険会社は、事故当時本人が無職だったことを理由に休業損害は全く認めませんでした。
そこで、まず、自賠責の被害者請求で224万円を先に回収し、その後、訴訟(裁判)を提起しました。裁判所は、休業損害について、事故直前にしていた仕事の収入を基礎収入として約1年分の約360万円の休業損害を認めました。
裁判は最終的には、約1200万円で解決し、12級の自賠責分を合わせると1400万円を超える結果となりました。相手の保険会社は過失等についても争っていましたが、裁判所は認めず、依頼者の過失はゼロとなりました。
本件は、依頼者がご自身の保険に「弁護士費用特約」がついていたため、弁護士費用は全額自分の自動車保険から支払われ、本人の負担部分は0円でした。
【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:弁護士法人アルマ
事故当時無職であっても、本人に働く意欲と能力があれば休業損害は認められるのが原則です。ただし、通常は収入額の立証方法が困難な場合もあります。
本件の場合は、被害者は前職を退職してから数ヶ月しか経過していないことや、ハローワークにも登録していたことが立証できたため、結果的には退職前の給与と同額レベルで約1年分の360万円程度の休業損害を獲得することができました。
逸失利益も裁判基準できっちり認められた結果トータルで1400万円を超える賠償金を得ることができました。