自賠責11級認定の圧迫骨折の事案。訴訟提起後、最終的に8級を前提に和解した事例
事例提供:弁護士法人アルマ
【事例】
40代の会社員Aさんは、朝、会社への通勤のために軽ワゴン車を運転して、片側一車線の県道をいつものとおり運転していました。
すると、ほとんどまっすぐな道路であるにもかかわらず、急に対向車線から、センターラインをオーバーした居眠り運転の車が正面衝突してきました。
Aさんは、体を鍛えていたため、普通の人よりは頑丈な体を持っていました。第5腰椎の圧迫骨折で入院し、1年半経過した後に症状固定と診断され、治療は終わりました。
Aさんは後遺障害の申請を行政書士の先生に依頼し、自賠責はAさんの後遺障害を11級と認定しました。Aさんは、労災では8級が認定されたことを理由に、行政書士の先生に異議申立をしたいと話したそうですが、このケースで8級にするのは難しいだろうと言うことで断られたとのことでした。
友人のつてをたどって、私たちの事務所にたどりついたAさん。
異議申立を検討しましたが、腰椎圧迫骨折の場合は、圧壊率の問題があり、形式的に上位の等級に該当する可能性があっても、容易には自賠責は認められないことが私たちは、経験的にわかっていましたので、自賠責に異議申立をせずに、直接上位の8級であることを前提に裁判を起こしました。相手保険会社と示談交渉するのであれば、8級前提の主張はおよそ無理であり、11級の主張になってしまうからです。
訴訟提起後、相手保険会社は、11級であると争ってきました。当事務所では、専門の鑑定医に依頼をして、画像の鑑定をしてもらうなど立証を尽くしました。
裁判所は最終的には私たちの主張を認めてくれ、8級の慰謝料や逸失利益という前提で和解案が提示され、最終的には和解で解決しました。解決した金額は3900万円でした。
【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:弁護士法人アルマ
もし11級のままであきらめていればせいぜい1600万から1800万円程度の賠償金しか得られませんでした。
本件のケースは、理論的なものを除いても11級では低すぎると感じるくらい症状が重い物でした。日常生活への影響も当然ありましたが、仕事についても従前の仕事に復帰できないばかりか自動車の運転ができないと仕事すら困難な地方での生活において、未だ自分で長時間運転することは困難でした。このような事情も詳細に聞き取り、まとめた上で裁判所に提出しました。
一方で画像の鑑定等も撮影の角度やどの部分を切り取るかにより数値の判断も変わることがあるため、鑑定医の先生にはお骨折りをいただきましたが、結果的には非常に良い結果になりました。