刑事判決前に7500万円獲得した死亡事例(被害者年収300万円余)(重次法律事務所)

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刑事判決前に7500万円獲得した死亡事例(被害者年収300万円余)

事例提供:重次法律事務所

【事例】
20歳代の死亡事故。加害者側の保険会社が過失相殺を主張する可能性があったため、人身傷害保険を先行請求。その後、刑事弁護士を通じた見舞金の受領要請や相手方保険会社との示談交渉により、総計約7500万円を事故後1年以内に取得できた事例。

・事故概要:信号機ある交差点で貨物トラックが左折時に同一方向で直進中とみられる自転車を巻き込んだ事故(双方青信号)
・手続き:人身傷害保険請求、刑事被害者参加、見舞金取得、示談金取得
・取得金額:約7500万円獲得

1 過失相殺の危険性 → 刑事裁判での被害者参加 
死亡事故において、被害者は「死人に口なし」の状況のおかれます。
また、刑事裁判において、「疑わしきは被告人の利益に」の原則があります。
これらの結果、加害者に有利に、被害者に不利に、実況見分調書などの証拠書類が作成される、刑事裁判での事実認定が証拠により明白に立証できる範囲に留められる控え目認定の留められる、などの危険性があります。
かかる危険を回避するため、死亡事故において、当事務所では少なからぬ比率(過去5年で5割超)で被害者参加を行っています。
本事例でも、加害者側保険会社が過失相殺を主張する気配があったため、被害者参加を行い、早期に刑事手続きに参加しました。
被害者参加のメリットとして、参加しない場合よりも早期に捜査資料を目にすることが出来、民事の示談交渉においても、主導権を得やすい、と言う点も挙げられます。

2 過失相殺の危険性 → 人身傷害保険の先行請求
過失相殺の危険性がある場合、人身傷害保険を先行請求することで、被害者の補償が確実になります。平成24年の2つの最高裁判決(訴訟基準差額説を採用)と、その後の改正保険法が差額説を強行規定として採用したことから、人身傷害保険は過失相殺部分から充当されるのですが、実際には相手方保険会社から損害賠償を得る前に取得しておかないと、過失相殺部分の人傷保険金を取得するのに訴訟を要するなど、スムーズにいかない場合が多々あります。
そこで、本件では、人傷保険を先行請求して、早々に契約上限の3000万円を取得しました。

3 示談枠外での見舞金300万円の取得
被害者参加中に刑事弁護人より、保険会社の支払い枠外で300万円の見舞金支払い申し出がありました。
数百万単位の見舞金については、損害賠償の一部とされる場合が多いのですが、当職が加害者・勤務先・弁護人弁護士・保険会社・被害者遺族の間を調整し、損害賠償の枠外の支払いであり、損害賠償への充当も損益相殺もしない条件で、保険会社の支払い枠外での300万円を受領しました。

4 刑事裁判中の示談成立
通常、刑事事件が確定して保険会社が裁判資料を閲覧・謄写した後に示談交渉となるのですが、本事件では、被害者参加により刑事資料が被害者側に揃っており、保険会社もそのコピー提出でよしとしたため、刑事裁判中に示談が成立しました。

5 本事件で被害者の所得は平均より低いものでしたが、総計約7500万円もの補償を獲得できました。

【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:重次法律事務所

1 「死人に口なし」の死亡事故では、被害者参加をすることで、民事にも影響する刑事捜査や刑事裁判を牽制することが出来ます。本件でも、被害者参加により慰謝料の金額に影響すると思われる資料を法廷に顕出させることに成功しました。これが、比較的高額な補償獲得につながっています。

2 過失相殺の危険性がある事案では、人身傷害保険金を先行請求することで、過失相殺部分に人傷保険金を充当させることが出来ます。ただし、自賠責保険の先行取得金が①遅延損害金②元金の順で充当されるのと異なり、人傷保険金は元金に充当されますので、過失割合が0の場合には、人傷保険金でなく自賠責保険金を被害者請求する方が有利です。
本件では、過失相殺される危険性がある事案であり、事故直後から受任して年5%の遅延損害金が積み上がっていなかったこともあり、安全策を取って、人傷保険金を先行取得しました。

3 見舞金を受領しても、それが損害賠償の一部に充当されたり、損益相殺の対象になったのでは、最終の取得金額は増えず、むしろ、年5%の遅延損害金が減少することにもなりかねません。本件では、数百万の見舞金でも損害賠償の上乗せとなるよう、確認書の文言を工夫して精緻に作成し、加害者・勤務先・保険会社・弁護人・被害者の5者の調整を当事務所で主導して、保険会社との示談と別枠で、見舞金300万円を取得しました。かかる点からも、交通事故や被害者参加に通じた弁護士に依頼するメリットがあると思います。

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