後遺障害での不都合やフォローしてもらっている事を主張1750万円の示談成立の事例
事例提供:弁護士法人リーガルプラス
【事例】
バイクで道路の左側を走行中、前方から進行してきた車両が道路外に出る際、前方不注意で急に右折してきたため、ほぼ正面衝突のようなかたちで交通事故に遭いました。
右折時ということもあり、ある程度は、スピードも落としていたものの、バイクに乗っていたことから、衝撃も大きく、肋骨多発骨折や血気胸、胸椎破裂骨折などの重傷を負ってしまいました。
約1年間、手術を含めた治療を受け、ある程度までは回復しましたが、脊柱の変形や可動域の減少、疲労時における背部のしびれや、物を運ぶ際の腰の違和感等の後遺症が残ってしまいました。
事前認定により後遺障害の認定をうけたところ、脊柱の可動域は参考可動域の2分の1以下に制限されていないことから機能障害は認められずに変形障害が認められ、11級と認められました。
事前認定を受け、相手方の任意保険会社は、この方に約580万円の提示を行いました。
しかし、後遺障害11級の場合、裁判基準で有れば後遺障害の慰謝料だけで420万円の賠償金が認められるため、この相手方の提案は明らかに低すぎる提案であり、ご依頼をお受けして交渉に当たることになりました。
依頼を受けて当方で計算を行い、過失割合も加味して、まず総額2400万円程度の支払い請求を行いました。何度かやり取りを行い、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料については、比較的早期に請求通りの金額まで増額することができましたが(合計600万円程)、逸失利益については、当方の提案が約1700万円に対し、約800万円の対案と、まだまだ大きな開きがありました。
この時点でも、当初の相手方提案よりも800万円程度の増額を得ていましたが、逸失利益についてまだ増額の余地があるため、後遺障害の存在による実際の不都合や同僚の方にフォローしてもらっている事実等を主張して1200万円まで増額し、合計1750万円での示談となりました。
【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:弁護士法人リーガルプラス
この方のケースで一番問題になったのは、脊柱の変形障害を理由とする逸失利益の有無です。機能障害ではなく変形障害の場合、実際に労働能力に与える影響はわずかであるとして、逸失利益を低額に主張してくる例が多くあります。同様な主張をされる例としては、お顔に傷が残ってしまった場合や、鎖骨が変形してしまった場合があります。しかも、この方に給与の減少はありませんでした。
実際に生じる減収分を填補するという差額説の立場では、減収がない以上逸失利益は存在しないという結論になります。
しかし、この方の場合、事故前より重い荷物を持つことが困難となり、同僚に助けてもらっているという現実があり、また、当然今後加齢とともに症状が悪化する可能性も十分存在しました。
そこで、その点を踏まえて主張し、後遺障害11級の場合の労働能力喪失率20%には届かなかったものの、労働能力喪失率15%程度を退職までの27年間認めさせることに成功しました。
後遺障害が重い場合、増額は大きくなりがちです。弁護士にご相談いただければ、増額見込みの有無を判断することができますので、ご自身で焦って示談をする前に、一度ご相談ください。