物損事故を人身事故に変えることはできますか?
【福井県あわら市の方からのご質問】
あわら市内の交差点で信号待ちの停車中に、追突をされました。相手は軽い負傷を負いましたが、私の方は車のバンパーと後部ドアが破損したぐらいで、体の方に怪我はありませんでした。交通事故の検分に来た警察には、自動車の破損だけの物損事故として話をしていました。
しかし交通事故の翌日、首に激しい痛みを感じたため、あわら市内の病院に行ったところ、頸椎が外部からの衝撃によりずれていると言われ、頸椎捻挫と診断されました。私の自動車の修理は相手の保険を使ってすると話はしていたのですが、頸椎捻挫のことは想定していませんでした。いまさら警察や相手方に「やっぱり交通事故で頸椎捻挫をしていたので人身事故にします」と言いづらく、どうしたらいいのか悩んでいます。物損事故として処理をしている交通事故を、人身事故に切り替えることは可能なのでしょうか?
【弁護士からのアドバイス】
交通事故で弁護士が言うアドバイスの1つに、「事故現場で痛みがなくても、念のため病院で診察を受けておく」と言うものがあります。交通事故にあった人は精神的なショック状態で痛みを感じづらくなっているだけでなく、むち打ちなどは交通事故の翌日・翌々日に痛みが出ることも珍しくありません。そのため、交通事故の時点では物損事故でもその後人身事故に切り替えるというのはよくあることで、質問者の方も診察を受けたあわら市内の病院の診断書を持って、警察に行けば人身事故に切り替えることができます。
しかし、すべての物損事故が人身事故にすんなりと切り替えることができるわけではありません。交通事故から2週間、1か月とかなり経ってから「むち打ち症状が出た」と言ってきたとしても、交通事故との因果関係が否定されて、人身事故に切り替えることができません。また、衝突した自動車の破損が軽微な交通事故で、「腰の骨が折れた」と言っても、「交通事故の衝突の規模からも骨折が起こるとは考えられず、交通事故とは無関係なことが原因」と判決が出たケースもあります。弁護士に相談に来られた方の中にも、残念ながら人身事故として取り扱われるのは困難であると言ったケースもあり、多くの場合が「交通事故直後から痛みがあったにもかかわらず病院に行かず、初めて受診したのが交通事故から数週間たってから」と言うものです。こうなると弁護士に依頼したとしても、痛みの原因が交通事故であるというのを証明するのは医師の診断書に寄るため、弁護士に出来る余地が少なくなります。